「連絡帳のない保育園と分かってたけど、やっぱり書いてほしい」これってわがまま?悩む母親に賛否
保育園の連絡帳は、子どもの日々の様子がわかる大切な情報源です。しかし保育士の負担を少しでもそ減らそうと「連絡帳なし」の保育園も多くなっているようです。
とはいえ、まだ話もできない我が子の成長を少しでも知りたいと思うのは、親心として仕方のないことでしょう。6月20日、はてな匿名ダイアリーにそんな悩みを明かした母親がいました。「保育園へ、この希望はわがまま?」とのタイトルで、連絡帳がないとわかっている園に入れたものの、やはり寂しいと訴えます。(文:篠原みつき)
「投稿者のメンタルがやられてる感ある」「やって欲しいなら転園するしかない」
園の雰囲気はよく、月に1度は個別にメッセージをもらえますが、他の園できめ細かなやり取りを交わしている様子を聞くと羨ましくなってしまう投稿者。朝も夕も先生に会えないことが多く、
「メンタルが落ち込んでる中お迎え行った時に先生と会話がなく、教室から出るまでに泣きそうになったこともあった」
と明かします。園に相談したくても「モンスターペアレンツになりたくなくて迷っている…」と悩んでいました。
これに対してコメントは、「事前にわかって入れていますよね。やって欲しいなら別の園に移動するしかないのでは」をはじめ、
「連絡帳書くのって先生も負担だからなぁ。1人の園児の連絡帳に5分としても10人いたら1時間仕事よ。(中略)自分にできないことは相手にも押し付けたくない」
など、厳しい意見や批判が入りました。
一方、この母親のメンタルを心配する声もあふれていました。
「どっちかっていうと増田(投稿者)のメンタルが大分やられてる感あるなあ。そっちのが気になる」
「保育園のことを知りたいと言うより育児の話が出来ないのがストレスなのかもしれないのでまずは子育てブログでもやってみたらどうだろう」
また、同じように子どもを保育園に預けている人からは、「超わかる。言葉が通じないからこそどう過ごしてるか気になるよね。顔文字付けて楽しそうに報告してくれる先生には感謝しかない」といった声も。
「連絡帳は有料サービスにして給与に上乗せすればいい」という提案や、「定点カメラなど何らかの技術で園の様子を知れるとよい」という意見もありました。つまりは、保育士不足、労働と給与が見合っていないという話へ戻るわけです。
見習いたいフランスの保育園事情 「連絡帳も運動会もなし」だけど
他方、「自分で話せない乳児を預かる仕事なのだから保護者とのコミュニケーションによる信頼関係の構築も園の業務のうちかと思う」と書く人も。「ただ、連絡帳がその唯一の手段でもないよね」と続けており、筆者も同感です。
たとえば、フランスの子育て事情をレポートした『フランスはどう少子化を克服したか』(髙崎順子:著/新潮新書)によると、フランスでは「連絡帳も運動会もない」とのこと。それでも親とのコミュニケーションは大切にしているようです。
フランス在住の著者は、保育園で先生と保護者たちが5分ほど話せる「朝の保護者交流コーヒータイム」で、園長先生にこんな風に言われました。
「子供に一番大切なのは、やっぱり親なんです。(中略)だからこそ、みんなで親を助けなくちゃいけない。親が子供と幸せでいられることが、子供にとっては一番なのよ。だからみなさんも、遠慮しないでいろいろ話して下さいね!私たちは、あなたたちを助けるためにいるんですからね」
「朝のコーヒータイム」も驚きですが、親も含めて幸せでなければという言葉は、胸に染み入ります。この園長さんが素晴らしいことはもちろんですが、本書によると、フランスの社会全体が「親の育児能力に対する期待が低い」ため、「制度」も「周囲」も、親と子どもを助けようとする工夫が手厚いのだとか。つまり親の限界をよくわかっていて、子育ては社会全体でやらなければならないという意識が高いのです。
これを投稿者が聞いたらどうでしょう。きっと「連絡帳」は問題にしないと思います。フランスのすべてが素晴らしいと言うつもりはありませんが、こうした考え方は見習ってもよいのではないでしょうか。