若新雄純氏、高プロ対象者の交渉力疑問視 「わがまま言わず育ってきた人に、交渉力あるのか」
松浦さんは、労働者は「働かされているのか働いているのか」を意識すべきと主張する。主体的に「働いている」なら、「交渉してだめだった場合には転職すればいい」と言う。
「これだけ人がいないなら、企業側も働き方改革に向けて動かないと従業員が離れてしまう。綺麗な職場、AIで効率化された仕事、VRを使った会議時間短縮などに取り組む会社に人が集まり、押し付けの設計をする会社には人が集まらなくなるだけの話」
高収入のエリートサラリーマンなら、会社の指示で動くのではなく自らの意志で主体的に行動するはず。「働かされている」状態でないなら、職場環境の良いところを求めて動くのは当然、ということなのだろう。
松浦さんは「自分の環境をどう変えるか意識して動けば、上のマネジメント層がどうだろうと自分なりの働き方改革ができると思う」とも語っていた。
若新氏「小学生くらいから『交渉欲』を育む必要がある」
一方で若新さんは「仕事で、自分にとって働きやすく交渉するというのがどういうことか」について、自身の取り組みを例に説明した。「一緒に仕事をする人に『午前中は眠くて無理だ』としつこく主張し、『若新は午前中来ない』というイメージを作り込んでいる」ことや、
「大学の仕事は裁量労働の世界で、どういう立場でどんな研究をしたかが大事。だから『もっとやりやすいように肩書を昇格してほしい。出勤日も少なめで』と、手土産を持参して教授に会いに行ったりするのを年に何回もしている」
ことを明かした。
若新さんは小さい頃から学校の先生に「宿題をこうしてほしい」「休み時間をこうしてほしい」などと意見を伝え続け、その度に「なんて君はわがままな人間なんだ」「世の中は君を中心に動いていない」と言われてきたそうだ。
「問題なのは、高プロに該当する多くのエリートは、こういうのを見て『俺は若新みたいなバカにはならない』って真面目にやってきた人の可能性があること」だと指摘し、
「わがまま言わずにきちんとこなしていってまともな社会人になるぞ、って人が、高プロの対象として『交渉力があるはずだ』と言われている」
と、高プロ対象者の交渉力に疑問を呈した。その上で、
「小学生くらいのときから、社会をあげて交渉欲を育まないといけない。自分のやりやすさを手に入れようというのは強い欲を持ってやる必要がある。欲は悪いことのように言われるけれど、時には世の中の問題を突破するエネルギーになる」
と、社会全体で交渉力の育成に取り組む必要性を主張していた。