「面倒くさい女」が働き方改革を実現する? 「女性は同僚の生活に目配りができる」「女性の方が時間配分に関して集中力がある」
働き方改革の必要性が叫ばれて久しいが、改革が進んでいると感じている人は少ない。日本能率協会が2017年に実施したアンケートによると20~69歳の会社員1000人のうち、働き方改革を「まったく実感していない」人が39.2%、「あまり実感していない」人が41.5%だった。
8月23日に放送された『モーニングCROSS』(MX系)では、ジャーナリストの三木哲男さんが働き方改革を成功させるための鍵について語った。(文:石川祐介)
働き方改革を阻む「ジジイ」 「変化を嫌い、既得権益にしがみつく人々」
まず、働き方改革を実施すべき理由について説明を始める三木さん。
「(日本の人口は)2008年が1億2808万人でピークだったんです。これから下がり始めます。2053年、1億人を割るんです。2110年には5300万になります」
人口減少に対応するためには、「少子化の克服と生産性の向上が大事」だという。人口が減れば、労働力人口も減るため、生産性を上げることが必要になるのだ。
しかし働き方改革は「ジジイ」に阻まれている。ジジイとは、「変化を嫌い、自分の保身だけを考え、『会社のため』『キミのため』と言いながら、自分のために既得権益にしがみつき、属性で人を判断し『下』の人には高圧的な態度を取る人々」(出典は河合薫著『面倒くさい女たち』、中央公論新社、2018年)のことだ。
一定の年を過ぎた男性がみんな「ジジィ」になるわけではなく、概念として「ジジィ」という言葉を使っているようだ。
「オジバ」が働き方改革を実現 「なにかにつけ細かい。おせっかい。空気を読まない」
この「ジジィの壁」を破って働き方改革を成功させるためには、オジサン的オバサン、略して「オジバ」の活躍が必要になってくる。オジバとは、「なにかにつけ細かい。おせっかい。会議が終わらない。上司を上司とも思わない。空気を読まない」人たちのことだ。
これまで面倒くさいと思われてきたオジバではあるが「働き方改革で長所になると僕は見ています」と話す。
「やたらと細かいっていうのは、細かい目配りがきく。同僚の生活に目配りがきくっていうのも大きい。男性は働いてるところしか見ていない。でも、女性はぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ話をするんです。つまり、その人の生活背景がつかめる。となると、子育てとか育児のことまで含めた指示が出せる」
オジバはおせっかい好きで空気を読まないので、相手のプライベートにズカズカ踏み込むことができる。その結果、社員一人ひとりの現状を知ることができ、ダイバーシティある働き方を実現するキッカケを与えてくれるようだ。
「男性は会社に行ってる時だけが人生です。女性は家庭も人生なんで、時間配分に関しては集中力があるんです。男は忖度して、上司の判断が全ての基準。女性は(ポストを重視する男性と違い)仕事が成果ですから」
時間の管理能力は女性の方が優れており、上司に対しても忖度があまり見られない。しかもポストを重視する男性とは異なり、仕事の成果を追い求めるという。
最後に三木さんは「オジバの短所・面倒くさいところが職場を変える価値になる。面倒くさい女が価値になる。言葉は悪いですが、女性の活用なんです」と締めた。