日本初の受刑者専用求人誌『Chance!!』がスゴイ 付属の履歴書には「指詰めの有無」「再犯の可能性について」の記入欄も | キャリコネニュース
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日本初の受刑者専用求人誌『Chance!!』がスゴイ 付属の履歴書には「指詰めの有無」「再犯の可能性について」の記入欄も

非行・犯罪歴のある人の雇用を考える企業の採用支援サービスを行うヒューマン・コメディ社は9月1日、受刑者専用求人誌『Chance!!vol.3』を発行した。同誌は今年3月に創刊した日本初の受刑者専門求人誌で、刑務所や保護施設に配布している。

同誌には15企業が掲載されているが、それ以外にも社会復帰した男性のインタビューや、お笑い芸人で元相方が雨上がり決死隊・蛍原徹さんの「コラアゲンはいごうまん」さんと同社の三宅晶子代表との対談、同誌専用履歴書など充実した冊子となっている。

求人企業の中には社長が元暴走族の総長で刑務所入所経験あり、という会社も

「絶対にやり直す」という覚悟のある人と、それを応援したい企業とを繋ぐ求人誌

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表紙を飾るのは静岡県の製造業で働く男性(28)。インタビューページには、官民恊働の刑務所・美祢社会復帰センター出所後、「頑張ってる歴2年8か月」とある。男性は現在、工場生産ラインのリーダーとして働いている。

くじけそうになったことを聞かれると「なんっ…どもあります」というが、飛ばずに(何も言わず辞めること)仕事を頑張れた理由について「出所した仲間がいて、いろんなことを話しやすかったのが一番大きい」と話す。

「自分を見てくれる人、認めてくれる人は必ずいます。出所しても孤独じゃない。不安じゃない。だから二度としないという強い心をもって頑張ってほしい」

また他の求人誌と大きく異なるのは「Chance!!専用履歴書」だろう。氏名や住所など、一般的な項目の他、「非行・犯行歴」「入れ墨の有無」「指詰めの有無」「反社会的勢力との関係(有り/離脱済み/無しより選択)」「出所後に関係を切りたい人の有無」「借金の有無」などの質問がある。

また「少年院・刑務所等施設内での自分の行い」「この期間は自分にとってどういうものだったか」、「再犯の可能性についてどう考えているか」「再犯しないための決意や具体策等」といった記述の項目もある。雇い主として知っておきたい情報が得られる履歴書となっている。

専用履歴書の一部

専用履歴書の一部

同誌に求人を出している企業は建設業が中心で、飲食や不動産業などもある。「募集職種」「給与」「求める人材」など通常の情報が掲載されている。しかしその中に「採用できない罪状」という項目もある。企業によってまちまちで「特になし」という企業もあれば、

「婦女暴行、放火、暴力団関係者(ヤメ暴はOK)」(北海道/建設業)
「覚せい剤累犯」(茨城県/建設業)
「暴力団在籍者、性犯罪、強がつく犯罪、覚醒剤、殺人」(東京都/建設業)
「半袖を着た状態で入れ墨・タトゥーが見える位置にある場合」(東京都/飲食業)

といった企業もある。大方、覚せい剤や性犯罪をNGにする企業は少なくないようだ。代表者からのメッセージも掲載されており、

「会社で寮を準備し、必要な道具も服も靴も全て用意してありますので、出所してからも安心してすぐに働ける状況を作っております。更生しても働ける場所、変える場所がなければ意味がありません」(東京都/建設業)
「出所した8名の社員たちも私のことをトッピさんと呼べるようになり、半数は早く料理や接客を覚えて『店を持ちたい』という夢を持って働くまでに成長しています。是非、手に職を付けて自分の店を持ちませんか」(香川県/飲食業)

など、雇用主から自身が勤務する際のイメージがつかみやすいコメントが多く掲載されている。雇用主の中には、若い頃に暴走族の総長をしており、自身も逮捕されて刑務所に入った経験がある、という女性社長もいた。

創刊から半年で10人の採用が決まる

お笑い芸人「コラアゲンはいごうまん」さんと三宅社長の対談も

お笑い芸人「コラアゲンはいごうまん」さんと三宅社長の対談も

通常、受刑者が就労したい場合、就労支援を申し込み、ハローワークの受刑者専用求人から仕事を探し出す。しかしヒューマン・コメディ社の三宅代表は、

「ハローワークの求人票だけでは、どんな会社でどんな社長なのか、自分に合いそうなのかどうなのかが全くわかりません。普通なら詳細をネットで調べたり直接会社の雰囲気を見に行ったりすることもできますが、刑務所の中ではそれもできません。なので当誌では代表者からのメッセージや採用後のイメージを文章で伝えるとともに、仕事の風景や寮の写真や飲み会の写真などを入れて、刑務所の中からでもできるだけイメージできるようにしています」

と話す。しかし刑務所にも配布しているが、中々受刑者自身が手にとって見られる環境ではないようで「多くの人が自由に見られる環境になればと思っています」という。

同誌を3月に創刊してから、受刑者支援団体から問い合わせが相次いでいるという。現在までに、130人以上の受刑者・出所者・矯正施設担当者から連絡があり、うち33人から応募があった。

「現在10人の採用が決まって、作った意味があったな、と嬉しいです。応募の他に、不安を綴った手紙も多く寄せられています。『こんな自分でも支援を受けられるのか、前を向いていいのか』と。『Chance!!』が広まることで多くの人の、やり直しや生き直しへのきっかけになればと考えています」

と語った。

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