村上龍も絶賛 世界一の巨大水槽を可能にした日プラは、従業員86人の香川の会社 | キャリコネニュース
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村上龍も絶賛 世界一の巨大水槽を可能にした日プラは、従業員86人の香川の会社

2014年1月、マカオに隣接する中国珠海市の横琴島にレジャーランド「長隆海洋王国」がオープン。設置された幅39.6メートルの巨大水槽が世界一と認定された。

この水槽に使われたアクリルパネルを製造したのが、香川県三木町に本社を置く従業員86人の日プラだ。2015年1月15日放送の「カンブリア宮殿」は、世界中からオファーが殺到している中小企業の強さの秘密に迫った。

勤務先が断った仕事を、仲間と独立して実現

0118tv日プラのアクリルパネルは、巨大水槽の先駆けとなった沖縄美ら海水族館や、空飛ぶペンギンでお馴染みの旭山動物園のほか、ザ・ドバイモールなど海外の名だたる水族館も採用している。長隆海洋王国の総経理・陳銘安さんは、選定の経緯をこう語る。

「世界の水族館で聞き取りをしたところ、最高の品質を求めるなら日プラにすべきだと教わりました」

番組冒頭、村上龍は「なんでこんな画期的なことが、従業員数90人ぐらいの会社で出来るのか。本当のオンリーワンだ」と驚いていた。

日プラの敷山哲洋社長は工業高校を卒業後、大手化学繊維メーカーでアクリルの加工技術を身につける。36歳の時、会社は地元の水族館から「魚の回遊が見られる大きな水槽を作って欲しい」と依頼を受ける。

当時、回遊魚は上から覗き込むしかなく、魚は小さな水槽ごとの展示だった。会社はこの依頼を断ってしまうが、敷山氏は「自分の技術で、会社を作ってでもやってみたい」と、1969年に数人の仲間と共に独立を決めた。

私財を投じ、1年かけてようやく世界初のアクリル巨大水槽づくりに成功。しかし、この分野が儲かると知った大手メーカーが次々と参入し、日プラは仕事を失った。

米国の水族館での成功が転機に

そこで敷山氏は欧米を視察して回り、海外に活路があることを感じ取った。

「水族館に行っても、市場が開けるかは分からないが、その国の人たちが本当に(観賞魚として)魚が好きなのかは感じられた」

それから冬の時代が25年近く続いたが、1994年に米カリフォルニア州のモントレーベイ水族館で、イワシの回遊型など3つの巨大水槽を完成させたことが転機になった。オープニングセレモニーでジュリー・パッカード館長は、こう絶賛してくれた。

「今回の素晴らしい水槽をつくったのは、日本のメーカーです」

これで世界中から集まっていた水族館関係者の知るところとなり、一気にヨーロッパなどから依頼が殺到。現在まで60カ国に納入し、この分野で世界シェアの7割を占めるまでになった。

日プラはアクリル板を特殊な技術で接着、研磨し、ガラスよりも強度や透明度の高いパネルを作り出す。安全性にこだわり、コンクリート以上の強度と耐久性が自慢だ。その製造から設置まで、社員1人ひとりがすべてをこなしている。

入社4年目の末本恒さんは、中国出身で帰化した社員。「中国での仕事も増えてきているので、僕の中国語が社長のおかげで生かされています」と語り、取引先とのメールのやりとりを中国語で行っていた。

会社を支える「マルチプレイヤー」たち

しかし末本さんは中国語専門のスタッフではなく、製造の技術的な現場仕事もきちんとこなしている。3年間ですべての工程を叩き込まれ、「現場では全体の作業をしなくてはならないので、『自分はこれしかできない』は通用しない」と明かす。

全社員が大型トラック免許やクレーン操縦など専門的な資格を取得するマルチプレイヤー集団。仕事の8割を占める海外のお客からは「最初に来た人が最後までいるから安心」と好評だ。そんな社員に敷山社長がよく言う言葉は、「一歩先を考えろ」だという。

「喫茶店に行って『このコーヒーうまい』で終わってはいけない。なぜと考えて、普通よりも一歩前進すること」

全世界でオリジナルの水槽を次々と生み出してきたアイデアマンならではの言葉だ。専用の工作室で連日オリジナルの模型や図案を作り続ける敷山社長は、81歳にはとても見えない。就活生には、従業員数千人の大企業で小さな歯車になる以外の選択肢があることを知ってほしい。(ライター:okei)

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