薄型テレビや電気自動車が続々採用 電源ノイズ除去特性が世界一高い「ウエノコイル」 | キャリコネニュース
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薄型テレビや電気自動車が続々採用 電源ノイズ除去特性が世界一高い「ウエノコイル」

山形県鶴岡市に本社を置く株式会社ウエノは、電源コイルの製造・開発メーカーである。主力商品は、世界一ノイズ除去特性が高い「ウエノコイル」という電源用ノイズフィルターコイルだ。

この部品は、私たちの身近な家電製品や精密機器の中に使われており、コンセントやバッテリーから入る異常な電流を除去し、制御回路の誤作動を防いでいる。言うなれば、電気の川の水を飲料水にする濾過装置のような役割を果たしているのだ。

生産技術を日本で開発、消費地の海外で製造

自動巻線機(画像提供:ウエノ)

自動巻線機(画像提供:ウエノ)

ウエノの電源用ノイズフィルターコイルは国内トップシェアを誇り、パソコンや薄型テレビ、IH調理器具やプリンター、電気自動車などに使われている。同社部品を使用する国内メーカー製エアコンは9割を占める。

「ウエノコイル」は広い周波数帯域のノイズを除去し、これまで低周波数帯と高周波数帯で2~3個使っていたコイルを1個に置き換えることを可能にした。コイルの主な材料である銅線の消費量を減らし、従来の製品より材料コストを2割削減している。

同社のコイルは海外でも使用され、世界シェアは1割。サムスン電子(韓国)、ハイアールやハイセンス(中国)、デルタ電子(台湾・タイ)などの海外メーカーも採用している。

ウエノコイルで使われているのは、「トロイダルコイル」と呼ばれるドーナツ状のコア(心材)にコイルを巻きつけたもの。棒状のコアより磁場が強くなり、電波障害を起こしにくい。

同社では、これまで手作業が主流だったコイル巻きを自動化し、作業員の違いによる品質のばらつきを減らして品質を安定させた。あわせて低コストでの生産が可能となった。

上野社長は「基本的には日本でコイルを生産していきたい」と話すが、今後は日本市場の縮小が予想される。材料コストは海外の方が安いこともあり、今年9月には部品の消費地に近いタイに工場を設立した。

その一方で、海外でのシェア率を伸ばすためには、価格を抑え、圧倒的な性能の差別化が必要との理由から、生産技術については日本で開発する切り分けを守る考えだ。今後はスマートフォン用の小さいコイルの開発や、電源基板自体の生産も目指す。

海外勤務が可能な人物を優先して採用

ウエノのウェブサイトより

ウエノのウェブサイトより

株式会社ウエノの設立は、1984年。トロイダルコイルの巻き線業として創業し、二次下請け、一次下請けを経て、1998年にトロイダルコイルの専業メーカーとなった。現在の従業員数は、およそ100人。

現在、新卒採用・中途採用ともに応募を受け付け中だ。年によって採用人数は変わるが、平均は3人から5人程度を想定している。

新卒者・中途採用希望者ともに、同社のホームページの採用情報の項目からエントリーをしてほしいとのこと(http://www.uenokk.co.jp/)。ホームページでは応募受付が9月中となっているが、随時受け付けているとのことだ。

現在、中国と韓国、タイに工場や営業拠点を有し、8人が中国で、2人がタイで海外勤務を行っている。そのため、海外勤務が可能な人物を優先して採用する予定だ。

また、ノイズフィルターコイルの概念について理解があり、新製品を作り出すアイデアやモチベーションのある人物を求めている。(取材・執筆:早稲田大学大学院ジャーナリズムコース修士2年・林佑香)

※本記事は読者の就職先選びに資する情報として、経済産業省「グローバルニッチトップ企業100選」からキャリコネ編集部が独自に選定した企業を取材したものです。

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