「上司が答えを知っている時代は終わった」 『本物のリーダーは引っ張らない』が教える、管理職が気づくべきポイント | キャリコネニュース
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「上司が答えを知っている時代は終わった」  『本物のリーダーは引っ張らない』が教える、管理職が気づくべきポイント

多様なリーダー像がありますね。

多様なリーダー像がありますね。

「部下に話が通じない」「自分だけが空回りしている」「本当は管理職なんて向いていない」などと悩む職場のリーダーの方、是非一度『本物のリーダーは引っ張らない チームをつくる4つの感情スイッチ』(講談社)を手に取ってみて下さい。著者は、経営コンサルタントで28万部超のベストセラーとなった『不機嫌な職場』(共著・講談社現代新書)など多数の著書を持つ、河合太介(かわいだいすけ)氏です。

とあるワインバーを舞台に会話形式で展開される本書は、読みやすく面白いのが特徴で、「説教臭いドヤ顔のビジネス書は読みたくない!」というときに最適です。臨場感があって具体的なイメージが浮かび、充実した読後感を味わうことが出来ます。(文:篠原みつき)

「父性と母性のリーダーシップを使い分ける」

主な登場人物は4人。体育会系で昔ながらの上司タイプの男性(筆者推定50代バブル世代)と、エースプレイヤーだけれどリーダーを任されたとたん行き詰まった男性(推定30代)、女性登用の流れでリーダーにさせられ不安いっぱいの女性(推定30代)。それぞれリーダーシップに悩む男女が、繁盛店を切り盛りするバーのオーナーママから「本当のリーダーシップ」を学びます。

ママは決して居丈高に説教することはありませんが、「上司が答えを知っている時代は終わった」ことを、キッパリと言い切ります。

「変わり始めたでも、変わっている途中でもなく、世界はすっかり変わり終えているの。そして、とっくに新しいゲームに切り替わっているの。それに気づくことが必要なの」

この辺の説明はかなり秀逸な時代の分析でした。「就社して終身雇用」が前提だった時代は、社員にとっては「人生や生活の安定安心」というメリットがあった一方で、長時間労働という非効率な働き方を作ってしまった。そして、非効率な働き方でも利益が出ていた時代は終わった、と断言するのです。これまでのやり方を変え、「人がついていきたくなるリーダー」になるべきと、ママは優しく諭します。

そこで鍵となるのは、「父性と母性のリーダーシップ」です。「父性のリーダーシップ」は、「ビジョンや戦略、変革、業績」、あるいは「秩序、規律」などを追求し、実行を管理します。リーダーとして必ず行う必要があることです。しかし、「これだけだと疲れちゃうの」とママは言います。

大切なのが、人間としての本質的な感情に応える「母性のリーダーシップ」です。「自分の意見に耳を傾けてもらえるんだ」とか、「必要とされている」「守ってもらえる」「支えてもらえる」「見てくれている」といった、「心」に関する側面です。本書にもある、「ついていきたい上司」が感じさせてくれる気持ちです。

全部できればカリスマ!リーダーと部下の心を結びつける「4つのスイッチ」

では、リーダーと部下の心が結びつくために何をすればいいのか。本書がママを通して教えてくれるのは、「4つの、部下の心のスイッチ」です。それは、「信頼感」「達成感」「不安感」「効力感」とのこと。

例えば「信頼感」では、「嘘をつかない、約束を守る、責任感、(親身になって)聴く、利他」という、人として当たり前のことを、本当にちゃんとできているかが問われます。「不安感」では、「他人(部下)の不安を軽く見てはいけない」と気づかされます。ママに言わせれば、「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源の中で、「ヒト」だけが「心」を持った経営資源だからです。

「リーダーシップというのは、唯一『心』というものを持った経営資源である人間に対して行うことだから、じつは人間として当たり前のことが一番大切だということね。これはリーダーシップにおいて普遍的なことだと私は思うわ。みんなややこしく考えすぎじゃないかなって思う時があるわ」

聞けば当たり前のことですが、これこそ多くの企業をコンサルティングしてきた著者が強調したいことでしょう。

リーダーシップに悩む3人が、「何か魔法の杖があるんじゃないかと思ってそれを求めてしまう」と反省したり、「じつはリーダーとして大切なことは、『能力』の問題というよりも『習慣』の問題だってことに気づきました」と前向きになったりする様子は、心にスッと入ってきて納得します。

4つのスイッチをすべて実行できれば、凄い人格者になれるでしょう。本書を薦めるファーストリテイリングの会長兼社長・柳井正氏のようなカリスマになれそう、とも思います。しかし、本書はあくまで「普通の人」向けで、1つでも実行できれば「ついていきたくなる上司」に近づけそうと感じるエピソードが描かれています。まずはハードルを上げ過ぎず、素直に1つのことから始めれば、職場の雰囲気が変わっていくかもしれません。

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