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識者に聞く、東京の最新ネズミ事情 ファミマのネズミ駆除は「1か月はかかりそう」

ネズミの種類によって増減の程度が違うのでは、と指摘しています

ネズミの種類によって増減の程度が違うのでは、と指摘しています

東京都渋谷区神南一丁目のファミリーマートでは、ネズミが発生し、8月5日から一時休業する事態になっている。本部は同店舗を閉鎖して駆除にあたっているが、営業再開の見込みは立っていない。

騒動の後ネットでは、同じく渋谷区にあるファストファション店の店内にネズミがいたとする動画が拡散されている。ネズミの目撃が続いたことで「都会にネズミが大量に発生している」と不安になる人もいるようだが、実際のところ、どうなっているのか。

薬の効かない「スーパーラット」なら駆除が難航する恐れ

人間が住む場所周辺に出るネズミは、クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの三種類だ。ネズミ駆除協議会の矢部辰男会長によると、繁華街ではクマネズミとドブネズミが多く、ハツカネズミはほとんどいないという。クマネズミとドブネズミは、繁華街であれば東京に限らず住み着いていると考えて良い。

クマネズミは建物の中、ドブネズミは建物の外に住みやすい。どちらも人間の出した生ゴミを主な餌にするが、クマネズミは大きな建物の中にある生ゴミ、ドブネズミは、飲食店が夜間にゴミ袋に入れて道端に出した生ゴミを主な餌としている。

矢部会長は今回話題になったファミマのネズミはクマネズミだと指摘する。コンビニはビルの1階で、上の階には複数の飲食店がテナントとして入っている。クマネズミの侵入経路はわからないとしつつも、

「上の階に元々住み着いていたクマネズミが、なんらかの隙間から入り込んできたのではないか。餌となる生ゴミが豊富に出る場所だけに、元々クマネズミが住み着いていてもおかしくない」

と見る。他の階からネズミが入ってきていた場合、侵入口を塞ぐ工事が必要になる。そのため「駆除に1か月はかかるだろう」とも踏んでいた。仮に、発生したネズミが薬に耐性を持つ「スーパーラット」だった場合、駆除で薬は使えない。「クマネズミは警戒心が強くなかなか罠を踏んでくれない」ため、駆除が難航する可能性もあるという。

東京のドブネズミ増加に危機感「一旦病気が入りこむと大変なことになる」

ネットでは「渋谷駅周辺の再開発で移動してきたのでは」という噂も流れていたが、「隣近所でビルを壊しているのであれば可能性としてはありえるが、そうでもない」と、その線はなさそうだ。「涼しいところを求めてコンビニに入り込んだ」説についても、

「まずない。クマネズミは暖かいところが好き。暑さにものすごく強いわけではないが、もし涼を求めて入り込んだのなら、渋谷だけでなく日本中あちこちでそういうことがあってもおかしくない。他では聞かないので、可能性としてはとても低い」

と一蹴していた。

矢部会長は、「クマネズミは減っているという駆除業者もいる」と明かす。都心では70年代頃から大型ビルが増えたが、当時は、一晩で数十匹~数百匹のクマネズミが捕まることもあったそうだ。「ゴミ専用に冷房の効いた格納庫を作るなど、ゴミの保管環境を変えたことが一因ではないか」と推測する。

「駆除業者の技術が進み、薬や罠だけでなく、厨房周辺を中心にした防鼠工事をする業者が増えたことも一因。クマネズミが食べ物のあるところに入れなくなった」

一方、懸念しているのはドブネズミの増加だ。ドブネズミは公的な場所に生息するため、駆除の責任は行政が持つことになる。しかし、「行政もお金に余裕がないのか、都心ではいつまで経ってもドブネズミがうろうろしている」という。

渋谷のように飲食店が増えた街では、当然のように外に出される生ゴミも増える。ドブネズミの数は、実態が掴めていない。

「オリンピックで来日した外国人観光客に『ネズミが多くいるなんて、東京は汚い街だ』と見られてしまうのはみっともない。それに、ネズミは感染症を媒介する。ドブネズミは獰猛で人を噛むこともあり、噛みつかれてうつる病気もある。一旦ドブネズミの間に病気が入り込むと、大変なことになると思う」

と危機感を募らせた。

ネズミ被害、防ぐには「飲食店の生ゴミの出し方を工夫して」

一般住宅にネズミが住み着かないようにするには、ドブネズミとクマネズミそれぞれで対応を変える必要がある。

「ドブネズミは木登りがあまり得意でない。2階から降りてくるより、下水管や水洗トイレなどから入り込む。土があるところにトンネルを掘って巣を作るので、掘った行き先が床下だった場合、そこから入ることもある。また、庭先に犬小屋がある場合、犬の餌をドブネズミが利用していることがある。ペットの餌の管理は十分注意しなければならない。穴がぽこぽこ空いていると、ドブネズミがいると考えてよい」

クマネズミは、繁華街だけでなく、1階が飲食店でその上が住居になっている建物でも出る可能性がある。「室外機と管の隙間から入るほか、ベランダが開いていれば、網戸を食い破って入り込んでしまうこともある」という。

ネズミの被害を防ぐために一番必要なのは、餌になる生ゴミの出し方を工夫することだ。矢部会長は、

「蓋の付いたプラスチック容器に生ゴミを入れたり、ゴミの格納庫を設置したりしないとネズミは減らせない。駆除業者が防鼠工事をして通路を塞いでも、生ゴミや食材を従来通り放置していたら難しい」

と話していた。

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