ハンバーグはデミグラスとチーズ入りを食べ比べた。ゼロミートはデミグラスタイプ・チーズインデミグラスタイプが各税込332円、ローソンセレクトはデミグラスハンバーグとチーズ入りハンバーグが各税込130円だ。
容量はローソンセレクト(100グラム)よりゼロミート(140グラム)の方が多いが、値段はゼロミートの方が約200円近く高い。両者ともパウチのまま電子レンジで温められるタイプだ。
まず、温めた時のにおいからして違う。ローソンセレクトはできたてのハンバーグのような食欲をそそるにおいだが、ゼロミートは「なにか食べられるもののにおいがする」という印象を抱いた。
見た目は両者ともハンバーグ然としており、断面はローソンセレクトの方がぎゅっと詰まっているが大きな違いは見られない。チーズ入りは、ローソンセレクトのチーズは黄色っぽく、ゼロミートは白っぽいくらいだ。
「黙って出されたらわからない」「茶色いダンボールを食べている感じ」
この計4種類をどれが本物の肉か説明せず、編集部員に食べてもらった。全員、どちらが本当の肉か否かは分かった。ただ、「何も言われずにゼロミートを出されたら本当の肉だと思って食べるかもしれない」という声も。
たしかに、ゼロミートはデミグラスソースの味わいが強いため、何も言われなかったら気づかない可能性もある。しかし、肉より弾力がなく、少しパサパサした感じがする。普通のハンバーグというより、おからが多めに入ったヘルシーなハンバーグの食感がする。”肉を食べている”感がないのが残念だ。
また、デミグラスの匂いの中に、豆乳など大豆系の香りが強く主張されている。そのため、「茶色いダンボールを食べている感じ」「餌を食べている感じ」と、一口食べるごとに食が進まなくなった人も。一度、植物っぽさを感じてしまうと脳が拒否をする感覚があった。
ゼロミートのチーズインデミグラスタイプで使用されているチーズは、豆乳クリームだ。チーズではないことは分かるが、チーズっぽさはあるためそこまで植物感は感じられなかった。
なお、ゼロミートのデミグラスタイプが186キロカロリー、脂質8.3グラム、チーズインデミグラスタイプが211キロカロリー、脂質10.8グラム。
「ローソンセレクト」デミグラスハンバーグは200キロカロリー、脂質13.6グラム、チーズ入りハンバーグは198キロカロリー、脂質13.0グラムと比べると、ゼロミートの方が格段に低カロリー・低脂質となっている。
この数値が味や食感、匂いに反映されているように思う。ゼロミートは大豆ベースで作られているので植物っぽさが強い。一方、普通に肉を使っているローソンセレクトはデミグラスソースから飴色玉ねぎやケチャップの匂いがするし、何より食感が肉。肉って美味しいなと思った。
キャッチコピーの「肉じゃないのに、そこそこ美味しい!」に嘘はない
続いて、ゼロミートのソーセージタイプ(税込430円)と、「ローソンセレクト」あらびきウィンナー(税込148円)も食べ比べた。どちらも6本入りで、ゼロミートは120グラム、ローソンセレクトは97グラム。前者が非常に割高となっている。
大きな違いは、こちらもやはり食感だった。あらびきウィンナーは爪楊枝をさした瞬間、プツッとした感覚があるが、ゼロミートはすっと入る。ウィンナーを食べる際のあの食感を味わえないのが残念だ。
あらびきウィンナーはぷりっとしており、口の中に肉の脂が広がる。一方、ゼロミートは失敗したそぼろを成形したような食感だ。味は通常のウィンナーとも魚肉ソーセージともつかないものだが、たしかに「ウィンナーを作ろうとしたんだな」という努力が感じられる。ケチャップを大量につけたらわからないかもしれない。でもウィンナーではない。
こちらもゼロミートのカロリーが1袋275キロカロリーに対し、ローソンセレクトは360キロカロリー。摂取カロリーを抑えたい人にはうってつけだろう。あらためて肉のウィンナーはとても美味しいなと感じたが、ゼロミートのパッケージに記載してある「肉じゃないのに、そこそこ美味しい!」に嘘はない。
ここ数年、肉に限らず代替食品が注目を集めている。絶滅危惧種に指定されて久しいウナギの代わりに白身魚やパンガシウスを使ったり。しかし、やはりすでに肉やウナギの味を知っているがゆえに「これじゃない」感が強い。代替食として出されるより「とある国の料理です」と言われたほうが「こんな味なのか」と何の抵抗もなく受け入れられそうだ。
明治時代、東郷平八郎がビーフシチューを作ろうとした。一説には、デミグラスソースや赤ワインなどが入手困難のため、砂糖や醤油で代用した結果、肉じゃがができたとされている。既存の料理を再現するのではなく、新しいものを作り出して成功する可能性は大いにある。
肉は肉でしかない。何より肉はとても美味しい。”代替食”を作るより、大豆ミートやパンガシウスなど新しい食材を使って、新しい料理を生み出すほうが受け入れられやすいのではないだろうか。