安倍首相は緊急事態宣言を出す際に、「GDP の2割にあたる108兆円。世界最大規模の経済対策を実施します」と発表した。「収入が大幅に激減した世帯に30万円」「売上が50%以下になった中小企業に200万円、フリーランスに100万円の現金給付」などを柱にしている。
ただ、諸条件や支給までに時間がかかることに不満を抱く人は少なくない。番組では、「何の保証もないのでかなり打撃は大きいですね」と語る港区のレストランなど困窮する事業者を紹介。区や日本政策金融公庫から無利子融資を受けようとしているが、
「まだ面談ができておらず5月の先くらいになってしまう。その間だけでも持ちこたえなければいけない」
と苦境を訴えた。この店は200万円の支給対象になっているが、先の見えない不安を語っていた。
一方、ドイツ政府は総額6兆円の中小企業支援を発表。緊急援助金は最大105万円程度とのことだ。ベルリンでダンススクールを運営する日本人のYさんは、
「申請からわずか2日で5000ユーロ(約60万円)振り込まれ、驚きました」
などと安心した様子で語っていた。今は収入がゼロだが、この援助金を家賃にあててしのぐことができるという。申請も簡単で、ミュージシャンのFさんは、
「全部オンラインで申込みできて、記入内容も名前、事業内容、納税番号、本当にそれだけだった」
と語る。「外国人でフリーランスの私にまでお金が来るのか疑問でしたが、そこにまで補償してくれて、すごくありがたい」と感謝していた。
安倍首相、「相当早く、5月中にお届けできるかもしれない」
番組はこの後、前の特番で出演していた安倍首相の映像を放送。支給時期について、「時期が一番大切な所なんですが」として、
「個人の給付は今月の後半にでも、野党の皆さんにご協力いただいて補正予算を成立させることができれば、5月中にお届けをしたい」
と語った。国民全員に10万円ずつという案については、「3か月かかるんです。この方法(一世帯30万円)だと相当早く、5月中にお届けできるかもしれない」と説明した。日本は頑張っても1か月はかかるということだ。その間に家賃の支払いができず、廃業するしかない事業者が出てくる恐れもある。
ネット上では、ドイツの給付の素早さを伝えるツイートが多数拡散され、「なんとシンプルで早い!安倍さん色々言ってるけど、手続きがゴテ」「この差はなんなのよ。マイナンバー作った意味とは」などの声が上がった。
国の制度も経済状況も違うドイツと単純比較すべきではないかもしれないが、早急に生活が補償され、国に”無条件に救われる”という安心感は大きなものだ。そもそも、いざというとき無条件で国民を生かすことのできない経済状況や政治姿勢になってしまっていることが問題だろう。
MCの大江麻理子アナは、早期の支給は感染拡大防止にもつながるとした東大教授の解説に、
「安心して、しかも率先して外出の自粛・営業の自粛をできるためにはスピード感というのが重要ということですね」
と補足している。この言葉や番組の構成からは、日本の支援の遅さや政治姿勢を批判し、「早急な支援」を訴えたいテレビ東京の強い意志が感じられた。