同社が提唱する「識学」は、組織内の意識を向上させて、マネジメントを改善していく独自の理論で、経営者向けセミナー、マンツーマントレーニングを通じて提供している。「人が物事を認識して行動に移すプロセスに誤解や錯覚があると、行動を誤る」という考え方をベースに、これらを取り除いて行動を正すことを目的にしている。
例えば、一般的な会社員の場合は「サービスを提供し、客から対価をもらう。会社員への給料は、この働きに対して支払われる」というのが、会社員とその報酬の考え方だ。
ところが、多くのケースでは「給料をもらったからサービスを提供する。その結果として、客から対価をもらう」と無意識のうちに順序を誤解してしまいがちだという。こうした誤解は、部下のモチベーション低下を招くといい、特にテレワーク環境などの上司がいない環境では”頑張れない部下”を生んでしまうというのだ。
さらに酷いケースでは、上司の指示通りに部下が動かなくなることもあるという。「識学」では、一つ一つの事象に対する物事の捉え方を体系化しており、組織が正しいロジックを認識することで、最短で一定の成果が出せるようになる、とされている。
部下のモチベーション維持は上司の仕事ではない?
では、なぜ新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、同社の「識学」が注目を集めているのだろうか。背景には、やはりテレワークの浸透があるようだ。同社広報は
「今までは上司が部下の行動を間近で見ていて『元気がなさそうだ』とか認識することができていました」
と説明する。ところが、必然的に互いに顔の見えない時間が長くなるテレワーク中では、相手の様子を確認することができない。実際に、著しく生産性が低下した企業からの相談が相次いでいるという。
同社広報は「部下のモチベーション維持は、上司の仕事と考えている人はまだいっぱいいます」とした上で、
「新型コロナの影響を受け、それでは組織を動かし続けるのが難しいケースが増えてきました」
と話す。「識学」は、業界業種を問わずに使える理念で、これまでも比較的人数の少ない企業から大企業までで、一定の成果を出しているという。「今後も顧客が困っていることを解決することで、期待に応えていきたいです」とコメントした。