これからワーケーションをしてみたい人必見!旅するライターがワーケーションを成功させるためのポイントを徹底解説
近年、新しい働き方として注目を浴びているワーケーション。ワークとバケーションを合わせた造語で、一般的にはオフィスを離れリゾート地などで仕事をすることをいいます。菅官房長官(当時)がワーケーションの推進を提唱したのが2020年7月のこと。
当時は「休暇中に仕事をさせるのか」との批判もありましたが、うまく利用すれば心身をリフレッシュすることで仕事のパフォーマンスが上がります。また、コロナ禍で経済的ダメージを受けた宿泊施設は空室を稼働させられるメリットがあります。
旅をしながら地方のゲストハウスやコワーキングスペースで仕事をしている筆者が、これからワーケーションをしてみたい人、ワーケーションを打ち出して人を呼びたい施設の方に向けて網羅的に解説します。
ワーケーションを利用したい層
ワーケーションという言葉をよく聞くし、実際にやってみたいという声をよく耳にします。実際、ワーケーションをうまく利用できそうな層はどんな人たちでしょうか。
①フリーランス
時間や場所を選ばずに仕事ができるフリーランスは、ワーケーションに向いているといえるでしょう。
具体的な職種として、
・ライター
・エンジニア
・プログラマー
・マーケター
・デザイナー
・イラストレーター
・コンサルタント
・動画編集者
などが挙げられます。
パソコン1つで仕事ができる職種は時間と場所を選ばずに働けます。これらの職種は、作業自体は基本的に一人で完結することができます。
自宅であれ出先であれ、仕事内容が変わるわけではないのでむしろ環境を変えることで新鮮な気持ちで仕事に取り組むことができます。
納期や打ち合わせといった時間に縛りのあるものもありますが、そこを自分でコントロールすれば、3日間のワーケーションのうち2日は仕事、1日は観光など予定も立てやすいです。
②リモートワーカー
コロナ禍でリモートワークが急速に浸透したことにより、会社員でありながら自宅で仕事をする人が多くなりました。
フルリモートワークか一部リモートワークかによってワーケーションのしやすさは変わってきますが、ここではフルリモートワーク正社員のワーケーションについて考えます。
フリーランスとリモートワーカー、旅先で両方を見てきた筆者の体感ですが、両者の違いは「ミーティングの多さ」「コアタイム出社」だと感じました。
・ミーティングの多さ
フリーランスにももちろんオンラインミーティングはありますが、リモートワーカーはその比ではないと思います。
会社に所属している以上、社内と社外両方の打ち合わせがあるのは当然です。社内で不足しているコミュニケーションを補うための雑談をする場合もあります。営業マンであれば、これまで足を運んで行っていた商談がオンラインになるだけで、打ち合わせの数が減るわけではありません。
組織として仕事をする以上、細部の打ち合わせや進捗を知る必要があるので、ミーティングの回数はフリーランスより多いように見えました。
・コアタイム出社
リモートワークと一口に言っても、フルフレックスかコアタイム出社があるかどうかで働き方は大きく変わります。フルフレックスであれば時間の調整がしやすいのは言うまでもありませんが、コアタイム出社がある場合はフリーランスより自由度が減ります。
例えば始業時にチームでオンライン朝礼をしたり、社用パソコンを開くとタイムカード代わりに勤怠管理が自動でされたり、何らかの形で出社していることを示す場合があります。
上記のような条件をクリアできるのであれば、会社の業務をリモートワークしながらバケーションをすることも可能です。上手な時間や場所の使い方については後述します。
③週末副業会社員
本業でリモートワークが難しい会社員でも、副業とバケーションを掛け合わせることは可能です。
例えば副業でブログをしている場合、出先で記事を書くことが可能ですし、ワーケーションに行ったこと自体がネタになる場合もあります。新しいインスピレーションが湧くかもしれません。
自宅でパソコン1つでできる副業であれば、出先で同じ作業をするのは難しいことではありません。
ただし、週末にワーケーションをする場合は期間が短いので、両方中途半端のまま終わってしまう恐れがあります。ワークとバケーションをうまく両立させるために気をつけるべきことは、後述の「短期滞在でワーケーションを楽しむなら、ワークとバケーションの比重を決める」を参照してください。
ワーケーションに求めるもの~バケーション編~
ワーケーションに行く人は、何を求めているのでしょうか。これは、一般的な旅行に行く際に求めるものと変わらないと思います。例えば、
・静かな山奥
・波の音が聞こえる海辺
・見晴らしのいい景色
・疲れを癒せる温泉
・くつろげるホテル
など、バケーションとして価値のあるものが求められているといえるでしょう。
ただ単に環境を変えて仕事をするだけならホテルワークやコワーキングスペースでもそれは叶います。
しかし、ワーケーションという形で出かけるのであれば、本来バケーションとして自分がやりたいことや過ごしたい場所を選んだ方が、最終的な満足度が上がります。
近隣のおすすめスポット情報
ワークを終えてバケーションに切り替える時、最も気になるのが近隣の観光地や飲食店の情報です。どこに行きたいかある程度インターネットで事前調査はしますが、地方に行けば行くほど情報が出ていないことは多々あります。土地勘や交通事情も分からないし、行ってから決めるというケースも多いでしょう。
そんな時、現地に近隣おすすめスポットのチラシやパンフレットがあると助かります。具体的には、
・地図
・写真
・移動方法
・観光スポット
・飲食店
が掲載されたものが望ましいです。
「どこに行くか」を選ぶのはユーザーですが、「何があるか」の情報は現地の人がまとめたものの方が信頼度が高いです。チラシやパンフレットの情報と、Google MapsやInstagramを合わせてリサーチすることも多いです。
そもそもバケーションに来ているので、調べる手間が省けるだけでも心配事が一つ減り、ワークに集中できます。
ワーケーションに求めるもの~ワーク編~
ワーケーションに行くからには、きちんとワークができる環境かどうかを見極める必要があります。
行ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、必要なものが揃っているか、どの程度の仕事をするのかを考えて施設を選びます。
<チェックインまで過ごせるワーキングスペース>
宿のチェックインは15時や16時からというところが多いです。このチェックインまでの時間が意外と手持ち無沙汰になってしまいます。
すきま時間に仕事をしようと考えているのであれば、近くにカフェなりコワーキングスペースなりがあるかどうかを調べておくとよいと思います。
宿の中にこういった施設があると、重い荷物を持って移動しなくてもすぐチェックインできるので便利です。
アーリーチェックインという制度がある宿もあります。追加料金がかかりますが、早くチェックインして腰を落ち着けて仕事を始めるのもよいでしょう。
<快適なインターネット環境>
パソコン1つで仕事をするには、ほとんどの場合Wi-Fi環境が整っている必要があるのは言うまでもありません。
個室で仕事をする場合、全室で快適にWi-Fiが使えるか。大勢の人が集まる場所の場合、回線に遅延が発生しないか。
大型のホテルやカフェ、ワーキングスペースを謳っている場所なら心配はいらないと思いますが、個人の旅館などでは「Wi-Fiがある」というだけで「仕事に使える」かどうかは行ってみないと分からない場合もあります。
心配な場合はポケットWi-Fiを持参する、テザリングを利用する、場所を変えたりオフラインの仕事に切り替えるという見切りも時には必要です。
また、社外秘の情報を扱う時は公衆Wi-Fiからアクセスしない、VPNで接続するなど会社によってルールがあるはずです。
「外からのアクセスはNGだった」ということにならないよう、社内の仕事を外に持ち出す際は、Wi-Fiの扱いを事前に確認しておく方がよいでしょう。
<コンセント>
長時間仕事をする場合、コンセントは必須です。できれば1卓ずつコンセントがある方が場所の取り合いにならないので快適に利用できます。
<オンラインミーティング用個室>
今や当たり前になったオンラインミーティング。しかし、オープンスペースでのオンラインミーティングは、雑音が入る、社内情報が漏れるなどの弊害があります。ミーティングスペースが完備されている場所を選ぶ、ミーティングが多い日は宿の個室で仕事をするなどの工夫が必要です。
最近は、空室をオンラインミーティング用に貸し出したり、リモートワーク用に数時間こもって滞在できるプランを打ち出している宿泊施設もあります。
ワーケーションを成功させるコツ
せっかくワーケーションに来たのに観光しすぎて仕事に集中できなかった、あるいは仕事ばかりで観光らしいことができなかった…という失敗談をよく耳にします。
ワークもバケーションも楽しむのが本来のワーケーションのはずなのに、両方中途半端になってしまうのはもったいないです。
失敗の原因は、「短期間でワークもバケーションもふんだんにやろうとする」ことだと思います。
<ワーケーションは中長期滞在が理想>
ワーケーションをする場合、1泊や2泊ではなく、週単位や月単位などの中長期滞在が理想です。
(例)月~金の昼は仕事し、夜は繁華街で地域の特産品を食べる。土日は観光スポットを巡る。
長期で旅行に出かけるという感覚は日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、長期休暇を取ることが当たり前の欧米では、週単位や月単位で移動と滞在を繰り返すことはめずらしくありません。
日本でワーケーションをする場合、1週間まるまる休みを取ることは難しくても、例えば月~金までは自宅と同じようにリモートワークをし、土日は普段通り休むというサイクルで過ごすことは可能です。
リモートワークが一般的になったからこそ実現する、新しいライフスタイルです。
<短期滞在でワーケーションを楽しむなら、ワークとバケーションの比重を決める>
どうしても短期しか滞在できない!という場合は、ワークとバケーションのどちらに比重を置くのかを自分で決めるとよいでしょう。
・ワーク重視の場合
ワーク重視の場合、普段と同じ仕事量をこなしつつ、近くを散歩したり、夜はおいしいものを食べたりするという楽しみ方ができます。
ここに観光を入れようとすると、「せっかく来たのだから観光しなくては」という雑念が入り、本来重視するべきワークのパフォーマンスが落ちる場合があります。
・バケーション重視の場合
バケーション重視の場合、今日の仕事はこれだけにする、ミーティングは入れないなど仕事の量を調節する必要があります。
勤務時間が決められている場合は難しいですが、裁量労働やフリーランスの場合、例えば14時に仕事を切り上げてその後観光に出かけるといった行動も可能です。
バケーションを重視する場合、普段通りの仕事を詰め込むと「結局休みらしいことは何もできなかった」という結果になりかねません。
ワークとバケーション、本来別々のものを一緒にするからこそ重要度を考えて組み立てる必要があります。
また、ここからはワーク、ここからはバケーション…と意識的に気持ちを切り替える必要があります。これが意外と難しいため「帯に短したすきに長し」状態になってしまう人が多いのではないでしょうか。
失敗しないワーケーションのコツ
自らもデジタルノマド、アドレスホッパーとして移動しながら働いているMayoさん(@mayukojpn)が、Twitterで「#失敗しないワーケーションのコツ」をまとめてくれました。以下、Mayoさんのツイートから4つのコツを引用します。
①予定を詰め込みすぎない
#失敗しないワーケーション
①予定を詰め込みすぎない
もちろん観光もしていいのですが、あくまで「ワーク」がメイン。過去に、地域を満喫しすぎて、まったく仕事する時間がなかったという人をたくさん見てきました。。。
特に日程が3泊以下の場合は、観光まったくなしでちょうどいいです。
— Mayo📍🇲🇾🇯🇵🇹🇼 #WCAsia (@mayukojpn) October 30, 2020
②期間は長めに
#失敗しないワーケーション
②期間は長めに
これは①とも関係ありますが、その土地に慣れ、エンジンかかるのにある程度時間が必要。初心者こそ、最低2週間どっぷり行ってくるのがオススメ。
海外のノマドツアーは最低でも2週間のものが多いです。例→ https://t.co/sjkzzxQ2s8
— Mayo📍🇲🇾🇯🇵🇹🇼 #WCAsia (@mayukojpn) October 30, 2020
③ワークスペース完備の施設を選ぶ
・コワーキングスペースとして営業してる
・仕事部屋が確保されてるその中でも以下の特徴があるとおすすめ
・現地在住のユーザーが多い
・長期滞在してる人が多い外のコワーキングスペースを活用してもいいけどせっかく泊りがけなのだから、施設内のほうが24時間没頭できる
— Mayo📍🇲🇾🇯🇵🇹🇼 #WCAsia (@mayukojpn) October 30, 2020
④いつもと変わらない「仕事の日」を過ごす
#失敗しないワーケーション
④いつもと変わらない「仕事の日」を過ごすあとは、普段やってることを普段通りやればよくて、逆にできてないなら普段の仕事を見直したらいいです。
・何時から何時まで作業するか決める
・その日やるタスクを決める
・普段のオフィスにあって現地に無いものは調達する— Mayo📍🇲🇾🇯🇵🇹🇼 #WCAsia (@mayukojpn) October 30, 2020
まとめ
ワーケーションは、うまく利用すればよいリフレッシュになりますが、中途半端な状態になってしまい満足度が低くなってしまうケースも見受けられます。
ワーケーションを成功させるためのポイントを押さえておきましょう。
・フリーランスやリモートワーカーはワーケーションと相性がいい
・本業がリモートワークでなくても、副業とバケーションを掛け合わせることも可能
・バケーション重視の際は、仕事量を調整する
・ワーク重視の場合は、観光は控えめにして仕事環境を優先する
・現地での観光地や飲食店のリサーチの手間はできるだけ少ない方がよい
・ワーケーションは中長期滞在がおすすめ!
ワークとバケーション、両方が身近なものだからこそ、ワーケーションが新しい生き方や働き方になっていくことを期待しています。