山道で落とした財布がその日に戻ってきた! 30代男性、あるサイクリングコースで起きた「奇跡」を語る

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「長い財布の落とし物は届いていませんか?」
2024年の夏、奈良県内の地元警察署に駆け込んだ豊田さん(仮名、30代男性)。彼の長ズボンのポケットからは、マイナンバーカードや運転免許証、クレジットカードなどが入った財布が消えていた。
山道で貴重品を紛失すれば、見つかる可能性は極めて低く思えるが、この数時間後、豊田さんは驚きの体験をすることになる。編集部は豊田さんに取材し、財布紛失から手元に戻るまでのエピソードを聞いた。(文:篠原みつき)
山頂からの帰り道。下り坂で気づいた「やばい」
それは8月の暑い日のことだった。芸術系大学の社会人学生として在籍している豊田さんは、課題を作成するため、奈良県を訪れていた。天理市から自転車を走らせ、桜井市の山の上にある蕎麦屋を目指したという。
無事に目的を果たし、衝撃を受けたのは帰り道でのことだ。行きは天理ダム付近から細い山道を通って山頂へ向かったが、帰りは別ルートを選び、山を大きく回り込む形で下っていたという。
「蕎麦屋で食べた帰り道、下り坂を駆け抜けるように降りていました。しばらく下ったところに喫茶店があったので休憩がてら寄ろうとしたら、ズボンのポケットに入れていた財布が無いのに気付いたんです。財布には、現金は数千円でしたが、マイナンバーカード、免許証、クレジットカード数枚、診察券が入っていたので、やばい!と思いましたね」
「リュックに入れておけば良かったな」と反省するものの、すでに山頂から数キロ下っていたところだったので、自力で戻って探すこともできなかった。とりあえず最後に財布を出した可能性がある蕎麦屋に電話をした。
「農協に届いてる」まさかの急展開
蕎麦屋に確認しても財布は見当たらなかったため、豊田さんは麓にある地元警察署の遺失物窓口へ向かった。
広大な山道で落とした財布など、そう簡単に見つかるはずがない。半ば諦めかけていたものの、窓口で尋ねると、思いがけない言葉をかけられた。
「警察の方に『農協に届いてるから待ってて』と言われてホッとしました」
なんと、見知らぬ誰かが財布を拾い、近くの農協に届けて警察に連絡までしてくれたのだ。
「ちょうどその日は警察署の近くで事故があって警察も慌ただしかったのですが、財布は警察の方が農協へ取りに行ってくれました。私は窓口の人と『大変ですね』みたいな世間話をしながら30分くらい待つと、無事に財布が警察署に届きました」
ところが、ここで一つ手続き上の問題が生じる。財布の中にすべての身分証明書が入っているため、豊田さん自身を証明するものが手元に何もないのだ。しかし、警察側の対応もスムーズで温かかった。
「警察の方から『財布の中にマイナンバーや免許証が入っているので、それと合ってるか確認するために名前と生年月日を教えてください』と言われました。それで口頭で伝えると、無事に返してもらえました」
紛失に気づいてからわずか3〜4時間。中身のカード類も現金もすべて無事な状態で、財布は豊田さんの手元に戻ってきたのだ。
「全部入っていて良かったと心底安心しました。次からは気をつけよう、ポケットに財布を入れるのはやめて、財布にエアタグ(AirTag)を入れようと誓いました」
財布を届けてくれた人は名乗らなかったようで、恩人はわからず仕舞いだという。親切な誰かの善意によってもたらされた奇跡のような出来事だ。
現在、豊田さんの財布には紛失防止の小型トラッキングデバイスが入れられている。家に財布を忘れて出かけた際も、スマートフォンから財布の現在地がわかるため、安心感につながっているそうだ。
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