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進むたばこ離れ、受動喫煙防止対策……喫煙をめぐる最近の動向まとめ

今年に入り、厚生労働省が受動喫煙防止対策の強化に乗り出すなど、喫煙を巡る環境は大きな変化の時を迎えている。特に東京都では、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて罰則付きの受動喫煙防止条例の制定が計画されており、喫煙者と非喫煙者の間での喫煙を巡る議論はますます活発化している。

喫煙率は年々下降、2016年度には初めて2割を下回る

ここ最近は受動喫煙に関する国や自治体の動きが盛んです

ここ最近は受動喫煙に関する国や自治体の動きが盛んです

厚労省が発表した2016年度の国民基礎調査の結果によると、20歳以上の男女のうち、たばこを「毎日吸っている」ないし「時々吸っている」と答えた人の割合は19.8%となり、1986年の調査開始以降初めて2割を下回った。特に20代では喫煙率の減少が顕著で、2001年と比べると男性で24.5ポイント、女性で12.5ポイント減少していた。

政府は「がん対策推進基本計画」で2022年度末までに成人の喫煙率を12%に下げる目標を掲げているが、こうした「たばこ離れ」の風潮を考えると、12%というのは決して無理な目標でもなさそうだ。【→詳しく見る】

受動喫煙が原因で年間約1万5000人が死亡

政府や自治体が喫煙率を下げる取り組みを進める背景には、受動喫煙による深刻な健康被害がある。

受動喫煙で吸い込む副流煙の方が、喫煙者自身が吸い込む主流煙より有害物質の含有量が多いと言われている。厚労省の研究班の調査では、受動喫煙を原因とする死亡は年間約1万5000人にも上るという。このうち、職場での受動喫煙での死者が7790人、家庭での受動喫煙での死者は7160人と推計されている。【→詳しく見る】

「受動喫煙被害者の会」設立3か月で会員1000人を突破

家庭での受動喫煙被害は、同居する家族がたばこを吸っているケースだけに留まらない。今年5月、集合住宅の隣室や近隣住宅から流れてくるタバコの煙に苦しむ人たちによって「近隣住宅受動喫煙被害者の会」が結成された。設立から3ヶ月で会員数は1300人に達したという。近隣住宅から流れてくるたばこの煙で「洗濯物に匂いがついて困る」人に加え、ぜんそくやめまい、アレルギーや抑うつ状態といった健康被害を被った人などから多くの共感を呼んでいるようだ。

同会は、集合住宅の管理会社や自治体が受動喫煙の被害に対応する義務を負う「ベランダ喫煙禁止法」の制定を目指している。【→詳しく見る】

勤務時間中の完全禁煙で喫煙率ゼロに

眼鏡などの販売を行うオンデーズは、来店者がたばこなどの「ニオイ」にマイナスの印象を持っていることを顧客満足度調査で知り、対策として、「勤務時間内の禁煙」を全社員に義務付けた。当然、喫煙者の社員からは不満の声が上がったが、愛煙家であった社長や幹部が率先して禁煙をしたことや、保険適用外の健康診断や人間ドック費用を会社が3万円まで負担するという福利厚生制度を合わせて導入したことで、喫煙者の理解が得られ、完全禁煙が実現したという。【→詳しく見る】

喫煙者も非喫煙者も納得できるルールづくりを

嫌煙家から頭ごなしの批判を受けるだけでは、喫煙者はたばこをやめるどころか、かえって頑なになってしまいかねない。受動喫煙によって第三者にもたらされる健康被害については、感情的な議論でなく客観的な数値に基づいて喫煙者に周知し、その上で、喫煙者が納得し無理なく協力できるようなルール作りを行うことが求められる。

喫煙者と非喫煙者が互いに気持ちよく暮らせる社会に向けて、この記事で紹介した市民団体のイニシアティブや企業の取り組み等を参考に、議論に基づいた政策づくりが行われることに期待したい。

※ウェブ媒体やテレビ番組等で記事を引用する際は恐れ入りますが「キャリコネニュース」と出典の明記をお願いします。

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