メガネのJINS・田中社長 業界の外から来た「異邦人」だから気づいたこと | キャリコネニュース
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メガネのJINS・田中社長 業界の外から来た「異邦人」だから気づいたこと

リーズナブルなメガネで知られる「JINS(ジンズ)」は、販売本数は日本一を誇る。2015年4月23日放送の「カンブリア宮殿」は、縮小傾向にあった業界に新風を巻き起こし回復傾向へと牽引するジェイアイエヌの田中仁社長を紹介した。

田中氏は1987年、地元群馬の信用金庫勤務を辞めて24歳でエプロンやポーチなどをつくる服飾雑貨の会社を興す。業績を順調に伸ばしていた2000年、友人と韓国旅行中にソウルの繁華街で3000円のメガネに遭遇した。

視力の良い田中氏はメガネには無縁だったが、メガネをしていた友人は「15分でお渡し」にも驚いていた。当時は「後日お渡し」が常識だったからだ。友人が「よっぽど変なものなんだろう」と思いつつ試しに作ってみたところ、きちんと見えた。

「なぜ日本では3万円のものが、韓国では3000円で売れるのか」

何十年もやっていると、新しいものに踏み出しにくい

JINSの公式ホームページより

JINSの公式ホームページより

疑問を抱いた田中氏はメガネ店を徹底調査したところ、店に届くまでメガネブランドから商社、工場、卸といった多くの流通経路をたどることが分かった。

そこで工場と直接取引して自社店舗で販売することで価格を抑え、「レンズの追加料金はなし」という手法を取った。レンズメーカーからはムリだと言われたが、「日本で一番発注するから値段を下げてくれ」と頭を下げた。

2001年、福岡・天神に1号店をオープンすると、「1本5000円・即日渡し」がウケて予想以上に大当たり。しかし同時期に格安メガネのライバル店も現れ、田中氏はこれまでにない「付加価値のあるメガネ」の開発に力を入れる。

2009年に軽いメガネ「エアフレーム」を皮切りに、2011年にはパソコンのブルーライトカットメガネ「JINSPC」が販売数5000万本の大ヒットとなっている。更に花粉対策、ドライアイ用メガネなどヒット商品を次々に開発し、販売本数日本一へと押し上げた。

まだ世にないメガネを作り上げるため、一昨年は特別開発チームを立ち上げた。元精密機器メーカーの社員や、大学院卒の新入社員、元建築デザイナーなど、あえてメガネに関係ない人材を集めている。チームリーダーの井上一鷹氏は、元コンサルティング会社からの転職組だ。チームの意義をこう説明する。

「今までの考え方が強くて何十年もやっていると、新しいものに踏み出しにくい。違う業界で違うこと考えていた人が、それまでの知恵・知識を使ってメガネで何をするかを考えています」

ビジネスで一番重要なのは「行動すること」

芝浦工業大学と共同開発し、今年10月に発売予定の「JINS MEME(ジンズミーム)」は、「自分の事が見えるメガネ」だという。眼の動きから、自分の健康状態がデータ化されパソコンやスマホで分かるという。

これを応用し、自動車部品メーカーと共同で「居眠り運転防止アラーム」も研究中。さらにオムロンとヘルスケア分野で共同研究も開始した。こうした発想も「視力を補うだけ」のメガネの役割を大きく超えている。MCの村上龍はこう感心した。

「田中さんがメガネ業界の外から来た『異邦人』みたいな人だったから、気づいたことではないか」

さらに「ソウルの街で1本3000円のメガネを見た日本人は何万人もいるが、それをビジネスにしようとした人は田中さんひとりかもしれない。何が違うのか」と村上が問うと、田中氏はこう答えた。

「考えたり聞いたりして新しいことを検討する人はたくさんいるが、実際に一歩を踏み出す人は少ない。ビジネスで一番重要なのは、行動することだと思うんですよね」

かつてメガネは高価で機能重視のものだったが、それを低価格にして1人で何本も持ち、機能やファッションで使い分けるといった発想も、元服飾雑貨のオーナーらしい考え方だ。これも「異邦人」だからこその気づきだと感じた。(ライター:okei)

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