セクシャルハラスメントは単純に言うと性的嫌がらせのことだが、直接触るなどしなくても、立派なセクハラとして糾弾されることがある。掲示板ミクルに2月中旬、「セクハラを指摘されたが具体的に何が悪かったのか」という職場の悩みが寄せられた。スレ主は30代の男性で、同期で30代の女性に対し、
「◯◯さんの服は、男が怖がる服装だね。男はもっと、20代女性さんみたいな可愛い方が好きだよ。旦那さんも喜ぶから、もっと若い服も着てみたら」
とアドバイスしたという。相手は、そのときは「ミニスカートはいてツインテールで出社しますよ」と笑っていたが、後日スレ主は上司経由でセクハラを指摘されたという。しかし、「具体的にどれが良くなかったのかわかりません」として、問題点を「男が怖がる服装」「20代女性と比較したから?」「若い服をすすめた」の3つに分け、どれがセクハラにあたるのか問いかけた。(文:okei)
「女性は男性を喜ばせるために存在してる訳じゃない」
スレ主は、もともと職場で女性のファッションチェックをするタイプだったようだ。その30代女性は、いつも綺麗めのキャリアウーマン風ファッションをしており、その日はつま先が尖った黒のパンプスと、丈の長いタイトワンピースを着ていたそう。
一方、比べてしまった「20代女性」は、女性誌『CanCam』のイメージで、乃木坂などアイドルが着ていそうな可愛らしい服装だという。ある日は花柄のフレアースカートを履いていたと書いている。スレ主はフェミニンな格好が好みなのだろう。
スレ主の問いかけには、「全部です」との批判が相次いだ。
「ぜんぶです。ぜんぶ。キモいです。女性の見た目を、服装やメイク含めてケチつけないでください」
「女性は男性を喜ばせるために存在してる訳じゃない」
「人と比較するのも頭がおかしい」
などと非難轟々。「謝罪してください」と責める声が次々に入っている。確かに、職場の規定に外れているとか助言を求められたわけでもないのに、自分の価値観で女性らしさや若見えを押し付けるような言動は、どう考えても余計なお世話だ。
「性別役割分担意識に基づく言動」にあたるのでは
回答はほとんどが批判だったが、「おちおち気軽に喋れないなんて男性は大変だね」と、スレ主に同情する声もある。ほめたつもりがセクハラだと注意を受けた人の話を聞くことがあるが、こういう気持ちなのだろう。しかしこれには、
「気軽にしゃべってもセクハラなんてしない人もいますよ。 根本的な価値観や視点が違うのでしょうね」
「主さんが無神経なだけ。男女逆に例えてみても失礼です」
など、すぐに反論が入っている。
スレ主の認識では、セクハラとは「相手の意に反する性的な接触や言動」だけなのかもしれない。だが「女性だから女らしい服装をするべき」とも取れる発言は、「男なんだから根性を出せ」とか、「女性は職場の華でいればいい」という性別役割分担意識にも通じる。言われた方は、仕事がやりづらくなったりモチベーションが落ちたりする恐れがある。
厚労省は企業に「職場のセクシャルハラスメント防止」を義務付けており、
「性別役割分担意識に基づく言動がセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景となり得ることを労働者に周知・啓発すること」
と通達している。会社は、セクハラが起こりやすい企業風土にならないよう、配慮しなければならないのだ。しかし、スレ主が改善すべきは何も難しいことではない。職場の女性をオンナとして品評するのではなく、ただ「職場で一緒に働く同僚」という視点でだけ見ていればいいだろう。【参照:掲示板ミクル https://mikle.jp/】