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「たかが蹴られたくらいで、なに被害届出してるんだ!」上司の暴力、警察に被害届を出してみた結果

画像はイメージ

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令和になっても職場からパワハラがなくなることはないのだろうか。上司のパワハラ発言に苦しめられていた30代男性(茨城県)は3年ほど前、ついに職場で暴力を振るわれたと打ち明ける。

驚くことにこの上司は、いかにも自分が被害者であるかのように立ち振る舞い、社長に嘘の報告をしたという。しかし、大勢の目撃者もいたことから、男性は警察に傷害事件で被害届を出した。

さすがに上司は謝罪してくるだろうと思っていた男性。ところが一切謝罪することなく、代わりに衝撃的な言葉を言い放ったのだった。

「たかが蹴られたくらいで、なに被害届出してるんだ!!お前はクビにする!!」

このあと男性はどうなったのだろうか。編集部は男性に取材した。

「私用なんかで休ませるわけないだろ!!」と有休却下

男性によると、この会社の業種は製造業で、その事業場には15人ほどの従業員がいた。件のパワハラ上司はどのような人物だったのか。

「年齢は当時65歳ぐらいで、割腹の良い体格でした。元自衛官で体力に自信があるようでした。役職は責任者兼取締役で、自分より上にはヘコヘコし、下には嫌がらせをしてきました。気分次第で仕事の指示がコロコロ変わりました」

ほかにも、「自分に甘く他人には厳しい性格」「言い返さない人にはガミガミと怒鳴り散らし、言い返す人には何も言えない」など典型的な困った上司だったようだ。有給休暇を取ろうとしたら、「私用なんかで休ませるわけないだろ!!」と怒鳴られたこともあったそう。では、肝心の仕事ぶりはというと……

「普段は何もせずに自分の趣味道具の整理や会社の金で勝手に買った工具や道具で遊んでる感じでした。『なんでも俺はできる』と言ってましたが、結局できずに周りに投げて周囲を掻き回すだけ。なのに部下の成果を全て自分の成果として社長に報告しておりました。電気工事関係の資格もないのに、有資格者のした仕事をいかにも『自分がやりました』『自分が指示してやらせました』と嘘の報告ばかりしていました」

「何か問題でもありますか?」→鉄板入の安全靴で、太ももにローキックを返してきた

上司に暴力を振るわれたとき、男性は機械の稼働準備をしていた。上司はそれが気に入らなかったのか急に「そんなことやらなくていい!他のをやれ!!」と怒鳴ってきたそう。普段はこうした暴言を適当に流していたという男性だが、このときは腹が立ち、

「ほかの従業員が稼働準備作業をしていたため、こっちの機械の準備をしていただけです。何か問題でもあるのですか?」

と言い返した。すると上司は言葉ではなく、あろうことか「鉄板入の安全靴で、太ももにローキック」という暴力で返してきたのだ。ちょうど稼働準備も終わり、作業員全員が集まったなかでの出来事とあり、多くの人たちも目撃していた。

男性はその日のうちに警察署に行き傷害事件が起きたと報告。翌日に労働基準監督署に相談したあと、再度警察署に行って被害届を提出した。

警察に被害届を提出すると決めたときの心境を次のように語った。

「我慢の限界でした。自分以外にもほかの社員にやりたい放題、ここで引いたらまた同じことの繰り返しが始まると考え、なにもしなかったら自分がクビにさせられるとの思いもありました。警察は親身になって相談にのってくれました」

被害届を提出した旨を上司に直接伝えるも一切謝罪はなく、「たかが蹴られたくらいで、なに被害届出してるんだ」「クビにする」と恫喝されたという。

「上司は最初鼻で笑ってましたが、最終的には警察から呼び出され、事の重大さに気付いたみたいです」

結局、上司は傷害罪で略式起訴され、10万円の罰金が命じられた。いくら社長のお気に入りの取締役でも、起訴された上司を会社は庇うことはできなかったようだ。

そして事件から1年後、上司は取締役から降ろされ、そのまま定年という形で離職したのだった。

「結局、謝罪もないままなので、被害届を取り下げませんでした。その後、民事訴訟を起こし、慰謝料として13万円をもらいました。訴訟準備に約半年かかりましたが、弁護士に頼まなかったので費用は1、2万円ほどで済みました。もし直接謝罪があれば、医療費は請求しますが、民事訴訟まで起こさなかったかもしれませんね」

この一件で、社長も任を解かれ上司と同時に引退した。一方で男性は今もこの会社に在職している。最後に現在の心境を次のように語った。

「あの上司のような人間にはなりたくないと心底思いました。自分のことしか考えず、わがまま言えは全てまかり通ると思ってる。素直にお礼も謝罪もできない。小さい子どもならまだしも……。とはいえ、もう関わることがないので正直ホッとしてます」

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