「インターンに単純作業」はブラック労働なのか? ライフネット岩瀬社長の「仕事論」に賛否

オンライン動画学習サイトのschoo(スクー)が2014年5月に公開した動画が、いま注目を集めている。ライフネット生命社長の岩瀬大輔氏が「仕事術」を語るもので、「単純作業こそ大切に」というサブタイトルがついている。コピー取りやデータ入力など、単純作業と思える仕事の中にこそ奥深さがあると語るインタビュー動画だ。

この中に岩瀬氏自身の体験談として「インターンの学生にエクセルに名刺のデータを入力するように頼んだところ、2週間で辞めてしまった」というエピソードを紹介する箇所があるが、それをバイラルメディアのnetgeekが取り上げ、「その内容は驚くほどブラックなものだ」と突っ込んだ。

「仕事は全部一緒。それを面白くできるかどうか」

ライフネット生命のサイトより

ライフネット生命のサイトより

その学生がやってきたのは、ライフネット生命がまだ準備会社の頃。「どうしてもインターンがしたい!」とやってきたという。いちどは断ったが、ドアの前で待ち伏せをする熱意を見せられ、「ちょっとだけ手伝っていいよ」と受け入れに至った。

岩瀬氏が頼んだ仕事は、名刺のデータ入力。当時は名刺管理ソフトもあまりなかったため、エクセルへの入力を頼んだが、2週間ほど経過した後、学生はこう言って辞めていってしまったという。

「自分はマーケティングとかそういう仕事がしたかったのに、なんでこんな永遠に名刺を入力しないといけないんだ」

岩瀬社長はこれを「すごいもったいない」と語る。仕事が名刺のデータ入力という単純作業でも、「こんな会社がある」「こんな組織になっている」といった多くの気付きがあるはずだと指摘。単に入力するだけではなく、「地域別・業種別・組織別に分ける」などの工夫もできたはずと加えた。

学生が名刺のデータ入力をつまらない仕事と捉えてしまったことに対し、「面白い仕事なんてない」と断言。「仕事は全部一緒なんですよ。ただ、それを面白くできるかどうか。自分で工夫できるかどうかだと思います」と、仕事との向き合い方を述べた。

「仕事の意味を自分で作れない奴は無能」との声も

岩瀬社長は同じ動画で「今でも生命保険会社の業績とかを自分でエクセルに手で入力する」と発言し、自分で作業することで数字の感覚が分かってくるとも語っている。しかしこの動画に対し、netgeekは「(岩瀬社長とは)全く違う見方をした」と非難した。

「やる気のある学生という労働力を確保したにもかかわらず、そのリソースを全く有効活用することができなかった」
「意気揚々とベンチャーの門を叩いたのに2週間もただひたすら名刺入力をさせられた挙句、こうしてダメな事例として公開処刑された学生が不憫でならない」

しかしインターンとは、職場における業務体験のようなもの。netgeekが指摘するように「やる気のある学生という労働力」という位置づけではない。この手の体験からヒントを得られる人材でなければ、岩瀬氏としても無理に引き止めるまでもないだろう。

netgeekは記事の見出しに「炎上」とつけて公開したが、ネットでは多くの人が岩瀬社長を支持、擁護する反応をあらわしている。レオス・キャピタルワークス代表の藤野英人氏は、フェイスブックにこう投稿している。

「岩瀬大輔さんすごいチャンスをあげたんだよなあ。だって彼の人脈で会っている人は本当にさまざまで、どういう人たちと会っているのかということをそこで生データで見ることができる」

LINE株式会社の田端信太郎氏(@tabbata)も「岩瀬さん別に間違ってないやろ。仕事の意味を自分で作れない奴は無能」と断じ、「『仕事とは与えられるもの。』だと思っている人と、『仕事とは自ら創り出すもの。』と思っている人の差こそが、『格差社会』。」と付け加えた。

「社長が持ってる名刺に興味示さないマーケティング志望って」

堀江貴文氏(@takapon_jp)は「出待ちとかマジうぜえ。中に入れてくれただけでも御の字だろ。俺だったら無視だな」とツイートし、岩瀬氏の好意を無にする学生の対応に呆れている。他にも岩瀬氏を擁護する声が相次いだ。

「単純作業とはいえ取引先や顧客の名刺は企業機密と言っていい物。有意義な経験を得られるだろうと。別に『驚くほどブラック』でも何でもないと思う」
「”社長が持ってる名刺”ってものに興味示さないマーケティング志望ってなんかの冗談かって気がするけどね。リサーチのほうが大事なんよ」

因縁をつけるようなnetgeekの記事に「もしかして、このインターン生は…?」と同一人物ではないかと穿った見方をする人も。岩瀬氏の方法は「むしろ人材の質を見抜く良い方法」と評価する人がいる一方で、単純作業をさせる前に岩瀬氏がその意図やヒントを伝えていれば結果は違ったのでは、とする意見もあがっていた。

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