年収1000万円超でも「激務過ぎて体重20キロ増、イライラで家庭不和」 その後、48歳で転職した男性、年収1600万円に | キャリコネニュース
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年収1000万円超でも「激務過ぎて体重20キロ増、イライラで家庭不和」 その後、48歳で転職した男性、年収1600万円に

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たとえ年収が1000万円を超えていても、「職務と報酬が見合っていない」と感じて転職する人はいる。優秀な人材ほど大切にするべきだが……。首都圏に住む49歳の男性は、コロナ禍で在宅ワークが整った頃、休日・深夜まで仕事をする過重労働に苦しむことになった。

男性は旧帝大の大学院を卒業。就職氷河期の中、某化学メーカーに研究員として入社した。会社に「生涯年収以上の利益」をもたらす実績をあげたものの、30代で課長職に就任してからは給料が頭打ちになった。一応、当時も年収1050万円あったというが、激務すぎて全く割に合わなかったという。

やがて体調に異変をきたした。男性をそこまで追い込んだのは、一体どんな会社だったのか。編集部では男性に取材を申し込み、話を聞いた。

「それから15年、どんなに成果を出しても給与は上がりませんでした」

男性は30代半ばで課長職に就くと、技術責任者として難しい問題の矢面に立ち、事業を支えてきた。「その自負もありました」と胸を張る。しかし

「それから15年、どんなに成果を出しても給与は上がりませんでした」

会社は実力や成果で昇進していく体制になっておらず、バブル期入社の人数が多い部長職は玉突き人事で2~3年でコロコロ入れ替わっていった。そのため、実務ができて決済権のある中間管理職、つまり男性に仕事が集中した。

「部長の引継ぎは『不明点は彼に聞いてくれ』と私が名指しされ、部長の仕事を教えるようになりました。その後、部長は私の提案に押印するか、連名で発表するような状況になりました」

仕事ができない部長の代わりに働いていたようなものだったが、男性の給料は課長職のままだった。しかも経験と実績によって仕事はどんどん増えて行った。

「信頼されればされるほど依頼されることが増え、何もわからない決められない異動部長たちからの相談ごとや依頼も増えました。契約関係の交渉経験も積み、気が付けば法務部の仕事である契約内容の点検までするようになっていました」

高いスキルと実務経験を持つ男性だったが、上司からは「仕事は出来る人に集まる」「君を異動させると仕事が回らないから、動かせないな」と言われるだけだった。

自身の業績を評価面談で何度も訴えたが、「若いから」「単身赴任していないから」などと言われて却下された。給与は所属長の気分、いわゆる現場運用で決定され、変わらないまま十数年が過ぎた。

「結局、何も決めない上司、上役に不満を持ちながら、社内外の自分を頼ってくる人たちに対する責任感で『自分がやらねば』と働き続けました」

「20キロ以上体重増加、高血圧になり、イライラする毎日」

ただでさえ悲壮な状況の中、コロナ禍が訪れる。テレワークによって過重労働が深刻さを増したのだ。

「コロナ禍で在宅ワーク環境が整ってしまったため、会社で仕事、帰宅して仕事、土日も仕事、毎週徹夜、有休取得しても出先のホテルで仕事、という状況でした。今考えると相当ストレスだったと思います」

しかも上司や役員からは「早朝深夜にメールを出すな」「22時過ぎたら業務外と記録しろ」と、勤務記録の改竄を当然のように指示された。「昔はみんなそうやったんだ」と強制されたという。心身ともに過酷な状況で、ついに身体が限界に達した。

「23時でも深夜2時でも満腹にしないと寝付けない状態が続き、体重が20キロ以上増加。高血圧になり、イライラする毎日でした。家族、特に子どもたちは、共稼ぎで小さいころから面倒を見ていましたが、その頃には父の顔色を窺って近寄ってこなくなっていました」

子どもたちは中学生と高校生で、思春期とはいえ激務で苛立つ父親を避けるようになってしまった。子どものために単身赴任を断り、家族を大事にしてきた男性にとって、何よりつらい事だった。

「社外の知人からは『あのままでは早死にしたかもしれないね』と言われました」

そんな折、転機が訪れた。

「きっかけは、事情をよく知る取引先に『なぜ、そんな状況でいつまでもその会社にいるんですか?』と聞かれたことです。私も『そうだな』と思い始めました」

そこで2023年1月、自らの価値と世間の水準を知るため、いくつかの転職エージェントに登録した。

「当時の年収が1050万円とすると、1500万円~2500万円プラス諸手当のあるオファーがいくつかありましたので、選考を受けました。家族のために転居や単身赴任がないことが重要と考えて、年収1600万円の現在の会社に転職が決まりました。最終合意は3月で、入社は7月です」

こうして、48歳で「あっという間に転職」が決まったという。前職の給料は月58万円から何年も上がらなかったが、

「今の会社では入社時は月75万円でしたが、すぐに成果を認められ今年1月に昇給、月77万円になりました」

と喜びを語る。もちろん、良くなったのは報酬だけではない。

「体重、血圧も戻り、社外の知人からは『あのままでは早死にしたかもしれないね』と言われました。ストレスが減って家族との時間も増えたため、子どもたちとも笑顔で過ごせるようになりました」

社員を大事にしない会社からは、こうして優秀な人材が流出し続けるのだろう。

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