「業界未経験者」を育成・戦力化 幅広い金融商品をワンストップで紹介するブロードマインドの採用戦略 | NEXT DX LEADER

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「業界未経験者」を育成・戦力化 幅広い金融商品をワンストップで紹介するブロードマインドの採用戦略

【マネプロ】ワンストップ金融コンサルティングサービス【ブロードマインド】 より

ブロードマインド 採用責任者 長谷川孝次さん

ブロードマインド 採用責任者 長谷川孝次さん

大手生命保険会社に勤めていた伊藤清氏が、総合保険代理店として2002年に設立したブロードマインド。取り扱う商品の幅を広げて業績を伸ばし、2021年3月に東証マザーズ(現グロース)への上場を果たしました。

3期連続で過去最高益を更新し成長速度を増す中で、現在どのようなポジションでどのような人材を求めているのか。同社採用責任者の長谷川孝次さんに話を聞きました。(構成・文:水野香央里)

全分野を横断提供するのは「国内10数社のみ」

ブロードマインド ビジネスストラテジー本部 人事総務部 マネジャー(採用責任者)長谷川孝次:新卒第1期生として同社入社。ファイナンシャルコンサルタントなどを経て採用チームへ。2021年より現職。

ブロードマインド ビジネスストラテジー本部 人事総務部 マネジャー(採用責任者)長谷川孝次:新卒第1期生として同社入社。ファイナンシャルコンサルタントなどを経て採用チームへ。2021年より現職。

――御社は現在どのような事業を行っていますか。

当社は「あらゆる年代やライフステージに応じて金融ソリューションをワンストップで提供すること」をコンセプトに、損害保険、生命保険、証券、住宅ローン、そして不動産といった幅広い金融商品の取引を仲介しています。

中核サービスの「マネプロ」は、幅広い知識をもった当社コンサルタントが、特定の金融機関に偏らない立場からお客様のライフプランの実現をプロデュースする、無料のワンストップ金融コンサルティングサービスです。

ブロードマインドはまとめて解決(同社提供)

ブロードマインドはまとめて解決(同社提供)

金融商品の取り扱いは仲介する分野ごとに、銀行代理業、金融商品仲介業、損害保険代理店、生命保険代理店の登録許可が必要ですが、ライセンス取得には厳しい審査があります。全分野で横断的に提供できる事業者は国内で10数社のみと極めて少なく、さらに連結子会社のMIRAIを通じて不動産仲介も行っています。

このほか、「マネプロ」で利用している自社ツールを、ライフプランシミュレーター「マネパス」や、BtoC特化オンライン商談システム「ブロードトーク」として外販し、「マネプロ」を通じて蓄積した知見を活かした金融教育プログラム「ブロっこり」を提供しています。

――「マネプロ」にはどのような相談が多いのでしょうか。

「将来経済的に何となく心配だけど、今なにをしたらよいか分からない」など、多くのお客様が「何を相談していいかわからない」という状態からご相談をスタートします。

具体的なご相談の場合は、少し前ですと住宅ローンの金利が下がったときに借り換えのご相談が増えたことがありました。最近では「新NISA」のご相談が増えていて、投資や資産運用への関心の高まりを感じています。

ご相談をきっかけに、お客様が気づいていないニーズを見つけ、ライフプランニング全体のコンサルティングを提供することが多いです。「マネプロ」の相談件数は年間2万件以上にのぼっており、非常に需要のあるサービスとなっています。

育成専門の「教育部」が半年間研修を実施

ブロードマインド研修は二本立て(同社提供)

ブロードマインド研修は二本立て(同社提供)

――現在どのようなキャリア採用に注力していますか。

新卒はもちろんですが、中途採用も「完全未経験」に対象を絞っており、金融業界経験者はほとんど採用していません。理由の1つ目は、当社が「お客様起点」での金融コンサルティングサービスの提供を目指しているからです。

保険会社や金融機関で経験を積んだ方は、どうしても商品起点にものを考えがちになります。教育コストはかかりますが、未経験者に商品知識だけでなくお客様と向き合うスタンスなどから研修を行い、きちんとした土台の上に経験を積み重ねてもらう方が、お客様起点のサービス提供が徹底できると考えています。

もう1つの理由は、当社の強みである「カルチャー」にフィットした人を重視するためです。当社は、人に対する興味関心が高い、人と協業していく、人と協力していくことに違和感を持たない人、人とのコミュニケーションが好きな人が活躍しています。

最近中途採用で入社した人の中には、前職がジムのトレーナー、学校の先生、日本料理の料理人だった人もいます。こうした人たちの共通点は、当社のカルチャーにフィットしているということです。

金融業界での経験があって、当社の仕事のやり方に合った人がいればいいのかもしれませんが、そういう人を見つけるのはなかなか難しい。そのため、採用時点ではカルチャーフィットをメインに、戦略的に未経験者を採用しています。

――未経験者の戦力化はかなり大変ではないでしょうか。

当社の業務は専門性が高く、コンサルティングを行うには幅広い金融商品を理解してお客様に提案しなければなりません。そのため、教育の仕組みを整備し、しっかりと時間をかけて社員一人ひとりが成長できる環境を整えています。

教育体制の最大の特徴は、育成専門部門の「教育部」を置いていることです。当社では新卒でも中途採用でも、教育部で半年間の教育を受けてから、基本的に全員に「マネプロ」のコンサルタントを経験してもらいます。

研修の内容は、金融知識や商品知識に加え、社会保障制度や税務など幅広く学びます。並行して、ケースワークを基にお客様への説明の練習を繰り返し行い、現場のアポイントを担当します。未経験者の採用に絞れるのは、こういった体制が整っているからこそで、当社の強みといえます。

固定給と案件相談で「お客様起点」を徹底

仕組み化されたビジネスモデル(「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」より)

仕組み化されたビジネスモデル(「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」より)

――未経験者のサポート体制は他にもありますか。

見込み客を業務提携によって開拓する仕組みを作っています。大手クレジットカード会社やFintech企業などおよそ20社と提携し、年間2万件、月1,500件から2,000件のアポイントを紹介してもらっています。

コンサルタントが自分で探しにいかなくても、会社がアポイントを確保していることで、コンサルティングに専念できます。教育期間を終えて現場に出てから半年間で50件近く、2年目で年間およそ100件のお客様との商談を経験します。

電話を100件かけて商談アポイントがようやく1件取れるか取れないか、といったやり方と比べると、格段に多くの商談経験を積むことができます。入社5~6年も経てば、金融業界であればどこへ行っても通用する力がつくと考えています。

――とはいえ、会社が高い目標を目指し、コンサルタントが高い給料が欲しいとなると、お客様が二の次になる、ということはないのでしょうか。

「お客様起点」を徹底する仕組みとして、給与制度が「固定給」という点があげられます。インセンティブ賞与や、年一回の固定給の昇給だけでなく、保有契約世帯数や保有資格に応じて「ステージ給」 を設けており、当社で長くお客様に貢献していくことで固定の給与が上がる制度があります。

また、候補者には「仕事を選ぶ上で大切にしたいこと」が単に“稼ぎたい”だったら、「当社以外に振り切ったところがあるのでは」と伝えています。「お客様起点」の価値観を共有できるかは、当社の重要な採用基準のひとつです。

それ以外の「お客様起点」の仕組みには「案件相談」があります。お客様に対する提案内容について、新人が案件ごとにマネジャーと打ち合わせを行い、数字を上げるためだけの提案ではなくきちんとお客様の経済的な課題が解消される提案になっているか確認し、必要があればブラッシュアップします。

新人に対しては基本的に「案件相談」を行いますし、ベテランになっても難しい案件であればこの時間をとっています。これは、先輩たちから脈々と受け継がれてきた、お客様に対する姿勢を教える教育の枠組みの1つであり、当社の文化から生まれたものといえます。

「スペシャリスト志向の人にうってつけの会社」

――未経験者の中には「金融って難しそうだし、大変そうだし、なんかネガティブなイメージ」という人もいるのではないですか。

当社への応募者にも、そういう不安を持っている人はたくさんいます。でも、現場で働く社員と話したりすると、ホームページなどに書かれていることが本当だと分かり、「この会社ではいい仕事ができそうだと思いました」といって応募してくれる人が多いです。

彼らの言う「いい仕事」は、目の前のお客様の人生をより良くすることです。そういう行動が最優先事項となっている社員が集まっていることが、当社の企業文化を支えており、自分勝手な営業活動に対する抑止力になっています。

――候補者の方には「御社で働く魅力」をどのように説明していますか。

まず、「スペシャリスト」の会社として、ひとつのことをきちんと極めていける土壌があると伝えています。当社の育成の環境は整っており、職人的なスキルを身につけてスペシャリストに、しかも最短でなれる環境があります。そういう志向を持っている人には、うってつけの会社ではないでしょうか。

もうひとつ、当社らしい魅力としては「人を大事にするカルチャー」があります。「人を人として扱う」というと当たり前ですが、人に対する関心が強い人が集まっています。採用活動でも、候補者との接触機会をかなりていねいに持つようにしており、面談する社員の数にして5~6人、面談回数では10回にものぼることがあります。

そのような伴走型のプロセスを経て「この会社の文化に魅力を感じる」「この会社でやっていけそうだ」と思っていただけた方に入社いただいています。このようなミスマッチを防ぐ方法が功を奏しているのか、直近5年間の3年定着率は88.6%と高い水準になっています。

転職が当たり前で、組織より個人が優先される時代の大きな流れは理解しているつもりですが、当社はそこに逆行してでも、やはり人を大切にして、長く活躍して欲しいと思っていますし、そこに共感してくれる人を採用したいですね。

センスより大事な「コツコツと積み上げができること」

ブロードマインドのオフィス(リフレッシュルーム)

ブロードマインドのオフィス(リフレッシュルーム)

――企業文化としては、いまどきのドライというよりも、ややウェットな感じでしょうか。

そうかもしれませんね。「案件相談」もそうですが、コロナ禍になる前から「1on1」のコミュニケーションを大切にしてきました。採用スタイルも、会社の規模が小さかったころからこのような方法を続けていて、それは会社が大きくなっても変わりません。

選考フローの中で、候補者は当社の社員から「この会社では先輩社員に1聞いたら10返ってくる」とか「質問したら必ず手を止めて答えてくれる」といった話を聞かされます。実際に入社した人に聞いたら「10どころか100返してくれますね」と言っていました。

こういうコミュニケーションは、先輩から受け継がれている大切な文化ですし、代表がそういうあり方を大切にしている影響も大きいです。

――求める人物像はありますか。

「コツコツと積み上げができること」が大事だと思っています。企画系の仕事の場合、ひらめきとセンスで勝負する部分もあると思いますが、金融の仕事では、学んだことや経験したことをきちんとストックして積み重ねていける人の方が活躍できています。積み上げるスピードの速さに違いがあったとしても、積み上げができる人は最終的に大成すると、当社の歴史でも証明されています。

――福利厚生についてはどんな取り組みや制度がありますか。

奨学金の貸与を受けている社員に、返済手当を支給しています。また、婚活手当(結婚の支援)を支給したり、子会社の仲介で住宅を購入した場合に手数料を優遇したりするなど、ライフイベントで大きなお金がかかるタイミングでの経済的な支援を充実させています。

毎日の金銭的な負担を軽くする仕組みも整えており、安くお弁当が買える「昼食支援」や、美味しいコーヒーが1杯50円で飲めるコーナーも作っています。オフィスのある渋谷は外で飲食すると結構な出費になりますので、社員として日々ありがたいと感じています。

「金融に倫理を、人生に自由を」をミッションに

2022年4月にリニューアルしたパーパスとミッション(2024年3月期決算説明資料より)

2022年4月にリニューアルしたパーパスとミッション(2024年3月期決算説明資料より)

――社内の交流イベントのようなものは行っていますか

これはまだ始めたばかりのイベントですが、四半期に1回社員が集まって、頑張ったことを共有し合いながら会食する「リスペクトNight」を開催しています。日ごろ感じているのになかなか伝えられない他の社員への賞賛の気持ちが、もう少し表に出ればいいなと思って始めました。

表彰制度としては、売上基準に加え、成果の裏にある努力や頑張りを近くで見ている人たちから推薦してもらう「Hero Award」を設けています。「最後まであきらめずに結果を出すことに貪欲」「自分の成果も大事にしながら後輩の育成にも力を入れていた」といった細かな頑張りにフォーカスしたコメントが集まります。これは会社のホームページにも掲載しています。

――採用にあたってはパーパス等への共感もポイントになりそうですね。

上場後、会社設立20周年を機に理念体系を刷新しました。社内でヒアリングを行い、社員と役員がディスカッションを重ねて約2年かけて決めたのが、「金融の力を解き放つ」というパーパス(当社の存在意義)と、「金融に倫理を、人生に自由を」というミッション(当社の使命)です。

このパーパスには、「誰のための金融か」を問い続け、これまでの金融業界の既成概念に捉われない金融サービスを開発・提供することで「あるべき姿の金融」を社会に実装することを目指す当社の姿勢を表しています。

また、ミッションには、情報の非対称性を解消し、相手の価値観を重視したコンサルティングを行うことで、一人ひとりが自分らしい夢を描き、その夢に向かって日々の生活を楽しめる社会を実現しようという当社の思いを込めています。

現在も月に1回、パーパス朝礼を開催したり、部門ごとで様々な施策に取り組んだりと、パーパス等の浸透を図っています。採用の場でも選考のテーマに取り入れるなどして、当社の価値観に共感する仲間を迎え入れられるようにしています。

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考察記事執筆:NDX編集部

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