「出世なんてコスパが悪い」と昇進を拒む有能な部下〜管理職になりたがらない世代を動かす”新しい報酬”とは〜 | キャリコネニュース
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「出世なんてコスパが悪い」と昇進を拒む有能な部下〜管理職になりたがらない世代を動かす”新しい報酬”とは〜

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管理職向けの研修を担当していると、受講生から「管理職になりたくありません」という部下に対して、どのような対応をしていったらいいのかといった質問を受けることがよくあります。

「出世なんてコスパが悪い」と昇進を拒む有能な部下を動機づけるためには、どのような関わりをして行けばいいのでしょうか。今回は、そんな方法について考えてまいりましょう。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

管理職への昇進を”罰ゲーム”と捉える部下の思いを理解する

なぜ、有能な部下ほど管理職になりたがらないのでしょうか。その原因の一つには、彼らが日々目にする「上司の疲弊感漂う姿」があります。

多くの職場で管理職は、上層部からの厳しい業績プレッシャーと、多様な価値観を持つ部下からの不満の板挟みにあっています。労働時間が長くなり、休日も業務のチャットやメールが頭を離れない。それにもかかわらず、残業代が支給されなくなることで、プレイングマネージャーとしての過酷な労働に見合った分の給与アップを実感しにくいという構造的な問題が存在します。

責任と業務量だけが跳ね上がり、経済的なリターンや時間的な自由が削られる。この状況を極めて合理的に計算した結果が、「出世はコスパが悪い」という結論なのです。彼らにとって、管理職への打診は栄転ではなく、むしろ一種の「罰ゲーム」のように映ってしまうのです。

もう一つ重要なのは、彼らが「仕事そのものの意味」や「仕事を通した成長」を重視している点です。有能な社員ほど、現場で自らの専門スキルを磨き、成長できていることに喜びを感じています。

しかし、管理職になった途端、社内調整や書類仕事、トラブルの謝罪や評価面談といった「自分が本当にやりたいとは思えない業務」に時間を忙殺されることになります。「せっかく身につけた専門性を活かすことができない」「成長が止まって市場価値が下がるのではないか」という恐怖心も、昇進を拒む大きな要因なのです。

「Be→Do→Have」のサイクルを育む

では、管理職になりたがらない世代の背中を押し、自発的な挑戦を促すための”新しい報酬”とは何なのでしょうか。そんな報酬を考えていくにあたって参考にして欲しいのが、Be→Do→Haveというフレームワークです。

高度経済成長期からバブル期にかけてのビジネス社会は、以下のようなHave→Do→Beのサイクルで回っていました。

Have(持つ): まず高い給与や役職、社会的地位を手に入れたい。
Do(行動する): そのために、必死に会社のために働き、成果を上げる。
Be(状態・存在): 結果として、一人前と認められ、幸せな状態が得られる。

しかし、物質的に満たされ、将来の不確実性が高まった現代においては、この順番では人は動機付けされません。これからの人材育成において重要なのは、理想の流れである「Be(どうありたいか)」からはじめ、「Do(何をするか)」を経て、「Have(何を得るか)」に至るステップを丁寧に育むことにあります。

では、具体的なアプローチを見てまいりましょう。

1. Be(ありたい姿)へのアプローチ

新しい報酬の第一歩は、部下の「Be」、すなわち「自分はどういう人間でありたいか」「どのような価値観を大切にして生きていきたいか」を上司が一緒に探求し、尊重することです。昇進を打診する際、「断ると今後のキャリアに響くかも」と諭すのではなく、

「君が将来目指すビジネスパーソンとしてのあり方に、マネジメントの経験はどう活きるだろうか?」

という問いかけをしましょう。管理職という役割を、単なる「会社都合によるポスト」ではなく、「部下自身のありたい姿(Be)を実現するための通過点」として定義させるのです。

2. Do(意味のある行動・挑戦)の提供

Beが明確になると、次はそのあり方を実現するための「Do(仕事の内容や挑戦)」へと繋がっていきます。有能な部下が求めているのは、やらされる無駄な管理業務ではなく、自らの意思で意思決定を行い、チームを動かして社会や顧客に大きなインパクトを与える「社会的貢献度の高い仕事」です。

マネジメントを通じて、「自分一人では到達できなかった大きな成果(Do)を出せる面白さ」をイメージさせること。これ自体が、彼らにとっての強力な報酬(インセンティブ)となります。

3. Have(結果としての報酬・成長)の獲得

適切なBeとDoの流れの先に、最終的な結果としての「Have」がついてきます。

ここでのHaveは、単なる昇給や肩書だけではありません。真のHaveとは、「どこでも通用するポータブルスキル」「視座の高まり」「自己効力感」といった、個人の中に蓄積される無形の資産でもあります。

仮に将来、会社組織の形態が変わったとしても生き残っていける「真の市場価値」が得られることこそが、コスパを意識する世代にとって最も魅力的なリターンとなります。

「出世はコスパが悪い」と考える部下に対して、力技で管理職の席に座らせる時代は終わりました。彼らの心理的な思いを紐解き、「Be→Do→Have」の視点から、マネジメント経験が彼らの人生やキャリアにいかに豊かな報酬をもたらすかを、本質的に伝えていくこと。それこそが、これからの時代に求められる、マネージャー育成の新しいアプローチになります。

部下にBe→Do→Haveの思考を育み動機付けしていくために、管理職自身もBe→Do→Haveの思考で仕事を進めていく毎日を送ることが大事です。そんな姿は、部下が将来ありたい姿に写っていきます。本日の内容を参考に、管理職の仕事を更に楽しんでいただければと思います。

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