「息子は幼い同居人。ありのままを受け入れる」――発達障害の子どもの自己肯定感を高める育て方 | キャリコネニュース
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「息子は幼い同居人。ありのままを受け入れる」――発達障害の子どもの自己肯定感を高める育て方

2児の母でライターの山本うみです。前回の記事で書かせていただいたように、我が家には現在高校生の発達障害の息子がいます。専門医を受診したのは小学校4年生ですが、それまでは私なりの接し方で彼の生きづらさを解消しようと奮闘していました。

というのも、発達障害であってもそうでなくても、彼が彼自身で生きていかなければならないことに変わりはないので、まずは症状と上手に付き合える環境が大切だと思ったからです。(文:山本うみ)

「何かあるたびに、どう感じたか、どう思ったか、彼の考えを聞く」

ありのままを受け入れよう

ありのままを受け入れよう

発達障害でよく聞くのが、自信喪失や劣等感などからくる二次障害。困難が重なることで自己評価が低くなり、不安障害やうつ病といった病気だけでなく、暴力や過度の反抗といった問題行動を引き起こしてしまうというものです。そこで私が常に意識していたのは、“彼が彼自身を肯定できる環境”でした。

まず、彼を理解するために、「彼は幼い同居人なのだ」というスタンスでありのままを受け入れるようにしました。その上で発達障害に関する知識を増やし、いったんリセットして彼と向き合うようにして、いちばん伝わる方法を模索していったのです。

……なんて書くとずいぶん偉そうですが、実際は一般的な子育てとさほど変わらず、彼の特性に沿った部分を工夫するといった感じです。

・ちょっとしたことでも「ありがとう」と目を見て言う。褒めるときはスキンシップを交えてちょっぴりオーバーなくらいに。
・日常の些細なこと、例えば苦手な片づけなんかも遊びに変えて楽しみながら身に着けられるようにする。
・注意するときは「怒られるからダメ」と理解しないよう、なぜダメなのかきちんと理由を伝え、できるだけ感情的にならないように話す。
・何かあるたびに、どう感じたか、どう思ったかなど、彼の考えを聞く。
・感情のコントロールができていないときは一旦クールダウンさせ、落ち着くのを待ってから話す。
・勉強で苦手と感じる分野は、わかりやすい比喩を用いたり可視化したりして一緒に考える。

また同時に自信につながるものを得てほしいと思い、スポーツなど興味を持ったことをやらせてみたり、気になった事があれば一緒に図書館へ行って調べたりと、経験や知識を増やす機会を設けることも意識しました。

そんな子育ての効果なのかはわかりませんが、二次障害を伴うことなく育った息子。とはいえ強いこだわりや落ち着きのなさといった発達障害の症状が改善されたわけではないので、年齢を増すごとに新たな悩みはでてきます。

場の空気が読めない、スイッチが入ったように突然怒るといった“自分で理解できない自分”で友たちとトラブルになり、戸惑うことも増えていきました。そこで小学4年生のころに一緒に専門医を受診しました。

「この子なりに成長している」と楽しむことが大事

診断が下ってよかったことは、彼自身が安堵できたこと。そして自身の状況を受け入れて、冷静に向き合う目を持てたことです。処方された薬も一定の効果を得られたのですが、副作用で意味もなくイライラすることが増えたので1年足らずで中止しました。その後、定期的に主治医とのカウンセリングを重ね、中学校入学を機に受診も終了しました。

中学校に上がると環境の変化に思春期の影響が加わり、当初は症状が強く出る時期もありました。しかし幸い担任の先生が彼を理解して根気よくお付き合いくださったことで次第に落ち着き、学校生活に馴染むことができました。

また、部活動でも運動部でいい顧問と仲間に恵まれました。3年間やり抜いて成果を残せたことが、彼に大きな変化を与えるきっかけになった気がします。親としては、言動に責任が伴う年齢になっていることを伝えながら彼の意思も尊重する接し方を心がけました。

体も心も大きく成長する時期。物の管理と時間の認識がまだまだ苦手で未だ彼の特性に合わせた子育ては続いていますが、本人は治ったつもりでいるくらい症状と上手に付き合っているので、それに合わせたアプローチ探しの毎日です。

親としてするべきこと、できることは全力でやりながらも、彼なりの成長を楽しむスタンスをとることで私自身がラクになり、気持ちにゆとりが持てるようになったなぁというのが、この16年の感想です。

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