ハロワが「ブラック企業の求人」を受理拒否? 厚労省の新制度に注目集まる
残業代の不払いなどの違法行為を繰り返す「ブラック企業」の求人を、ハローワークが受理しないようにする制度を厚生労働省が創設する方針を固めたと、1月6日の共同通信などが報じて注目が集まっている。
現状の制度では求人内容に違法な条件が書かれていない場合、ハローワークは「すべて受理しなければならない」と定められている。しかし求人票にウソが書かれていたり、会社が約束を守らなかったりする場合も少なくなく、求職者から批判が上がっていた。
歓迎の声があがる一方で担当官は「まだ議論中」
報道によれば、新制度では残業代不払いのほかセクハラや育児休業を取得させないなどの法律違反で企業名を公表された場合に、新卒求人を受理しないようにする見通しだという。
ネットでは新制度について「こういうのドンドンやるべき」「これは良いこと」と歓迎する声が挙がっている。ハロワの求人票の記述が現実とかけ離れており、実際に働いてみたら「ブラック企業だった」という話はこれまでも散々指摘されてきた。そのため、
「今まで野放しだったことに怒りを感じる。日本がブラック国家と皮肉られる所以」
「見て見ぬ振りしてきたせいで被害受けた求職者に何も謝罪しないの?」
と、あらためて憤りをあらわにする人も少なくない。
ただし新制度の内容は、詳しく決まっていないのが現状のようだ。厚労省の職業安定局若年者雇用対策室の担当者は、キャリコネニュースの取材にこう明かした。
「まだ労働政策審議会で議論している段階。報道の通りになるかも分かりません」
具体的には、9日の労働政策審議会の部会で報告書案が提示され、これを基に1月召集の通常国会に提出される若者向け雇用対策法案が作成される。詳細の基準は、法案成立後の政省令で決まると見られている。
「新卒求人のみ」に疑問を呈する声も
また報道では、求人の受理拒否をするのは「新卒求人」だけとされ、ネットでは、
「ようやく一歩進むが、一般求人媒体にも拡がるかが問題」
「新卒求人だけなんか? 既卒はブラック求人まみれやで。(経験者談)」
という懸念もあがっている。これについても厚労省の担当者は「今回は若年者の雇用対策ということで議論をしている」ということで、あくまでも新卒求人のみの対策であり、一般の求人については別途検討されるようだ。
このほか報道では「不受理」の条件として、「違法行為を繰り返して企業名が公表されている場合」があげられているが、現状では違法行為に対する「是正勧告」を受けても、企業名は公表されない。このことから「結局は(ブラック企業の求人を排除できず)ザルになるのではないか」と懸念する声もある。
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