近年の「子どもに勤めて欲しい企業」や「就職したい企業」ランキングで上位を占めるのが公務員だ。しかし、当然誰でもなれるわけではなく、試験に落ちれば涙を呑むしかない。ただ、中には数回落ちても諦めない「公務員浪人」も存在する。人はこれを無職と呼ぶが、本人は無職ではなく、志の高いポジションと認識している。
平成も終わり間近の4月29日夜、2ちゃんねるに「平成最後の数年間を公務員浪人で棒に振った」と嘆くスレッドが立った。
スレ主は28歳男性。公務員になるためにそれなりの大学に行き必死で勉強してきたが、今までの試験は失敗続き。今年受からなければ年齢制限により受験資格を失う、瀬戸際に立たされている。現在は塾講師のバイトをしながら予備校に通っているが、「なぜここまで努力してるのに公務員になれないんだ」「なぜ努力してないチャラチャラしたやつが受かっていくんだ」と地団駄を踏んでいた。(文:okei)
母親の”公務員信仰”が凄すぎる 「公務員になればすべて上手くいくはず」
公務員と言っても様々だが、恐らく国家公務員の総合職や一般職、地方上級公務員を受け続けているのだろう。5~6回は落ちているのだから通常の精神なら諦めそうなものだが、彼には公務員以外の選択肢がない。
「小さい頃から親に公務員公務員言われ続けたから公務員しかやりたいことが浮かばない」
「それ以前に民間イコールひどい待遇って親に刷り込まれてから民間が怖い」
「公務員になれば全て上手くいくはず」「公務員になってモテたい。ちやほやされたい」
などと、歪んだ認識で公務員を夢見ている。幼少期から母親に「公務員になりなさい」と言われ続け、作文の「将来なりたい仕事」も公務員と書くよう言われてきたという。
なにしろ母親の”公務員信仰”が凄まじい。スレ主の母は高卒で4年ほど市役所勤めを経験しており、彼女にとって公務員は「仕事が楽で待遇がしっかりしており、男性もお金があるので優しくて余裕があり、休日が多くて家族思い」と、まるで貴族のようなイメージだ。夫の転勤のためやむなく退職したが、いくつか勤めた民間企業は「どこも待遇が悪く最低だった」と、息子に言い続けた。
スレ主は小さい頃から「勉強しないとお父さんみたいな安月給の仕事しか就けない」と聞かされ、民間勤めの父を見下す母のもとで育ったというから不憫だ。まさに毒親である。
心のこもったアドバイスにも、「いま他へ行くと受験勉強したことがゼロになる」
スレッドは注目を集め、平成から令和に入り8日経ってもコメントが伸び続けた。
「アホな事言ってないで普通に働け」「なんで公務員がそんなにモテると思ってるんだ」
「『公務員浪人』が社会的地位の認められた肩書だと勘違いしてないだろうか」
というツッコミが続く一方、「それはスレ主のなりたい職業ではなく親に刷り込まれただけ」「もっと社会に出て生きていく道探したらどうか」という真っ当なアドバイスも多かった。
同じように年齢制限ギリギリで公務員試験を受けたという人は、ガムシャラに頑張って筆記は通ったが面接で落ちたという。「年齢制限が近い人は合格率が低い」と予備校で言われたそうで、真偽の程は不明でも「もう28なら公務員一本はやめなさい」とアドバイスしていた。
しかし、こうした助言もスレ主には届かない。「今更何も関係ない職に就くのは受験勉強したことがゼロになってしまう」と拒絶していた。ギャンブル依存症の人が今までつぎ込んできた額を一発逆転できるまで借金を続ける、みたいな状態である。
「公務員は民衆を導き民衆が幸せになるような施政を行う側」民間を見下す癖抜けず、令和まで棒に振る勢い
スレ主は、自分でもよくないと分かっていながら民間を見下している。「自分がお願いして仕事をもらう営業みたいな仕事はやだ」「公務員は民衆を導き民衆が幸せになるような施政を行う側であるわけよ」との上から目線だ。
果ては、「例え50歳まで無職だとしても、最後の最後に公務員になれればそれでいい」などと本末転倒な言葉が飛び出す始末。安定を求めて不安定を継続し、平成どころか令和まで棒に振る勢いだ。財政破綻が100%ありえないとも言えない時代に、そんなに自分の運命を預けていいものだろうか。
どんな人生を歩もうと、自分の決めた道なら後悔はないだろうが、スレ主の場合そう言い切れないところが悲しい。ちなみに2019年の国家公務員一般試験は6月16日、7月に2次試験があり8月20日が合格発表だ。健闘を祈る。