転勤族はそろそろ転勤の辞令がくだる時期。いつどこへ行くか分からないのも大変だが、それに振り回される妻子も大変だ。ガールズちゃんねるに2月19日、「夫の本社異動を応援できません」というトピックを立てた女性もその一人。夫が東京本社への異動を打診されたそうで、断ることもできるようだが、異動となれば単身赴任の予定だという。
地方へ飛ばされるならいざしらず、東京本社なら栄転であり喜ばしい話だ。しかしトピ主は、
「2歳児がおり父親と一緒の時間を大切にしたい、頼れる身内が近くにいない、家を購入しローン返済中、今住んでいる場所に戻れる保証なし、新型コロナが流行しているので都心部は怖い」
などの理由で応援できないという。皆様なら応援できますか?と問いかけると、多くの批判コメントが寄せられた。(文:okei)
「そんなことで夫の栄転に口挟むの?」
トピックへの書き込みは、「出世させたほうがいい。金銭的な意味でね」など、夫の栄転を素直に喜び、ついていくよう諭す声が圧倒多数だ。妻であれば、これを出世のチャンスと捉えるべきで、渋るなんてとんでもない!という論調だった。
「専業なら反対する資格はないと思う」
「自分が大変になるから東京に行きたくないんだね」
「頼る人がいないとか、可愛い盛りの子供との時間がどうとか、そんなことで夫の栄転に口挟むの?」
「お子さんに充分な教育費をかけてあげたいなら反対すべきではないと思う。お金は大事だよ」
新型肺炎はもはやどこに行っても危ないし、家は貸すか売るかしたらと薦める声がおびただしい。
さらには、「今回の異動を断ったら多分二度と旦那さんには声が掛からない=出世街道から外されると思うけどそれでもいいの?」と脅すような忠告を書く人も。給料アップは期待できなくなるし、子供は大きくなるほどお金が必要、「住宅ローンも返済中なんでしょ?」とトピ主に迫っている。実感がこもっていて怖い。
子どもが小さいうちは「親子が一緒にいる」ことを重視したくなるが、時が経てば「お金が大事」という考え方になる人が多いようだ。筆者もそれは否定できない。子どものため生活のためにはお金が必要で、これも愛情ゆえの考え方と言える。
妻にもキャリアがあれば反応は違っていた?
一方で、「2歳児いて実家遠方なら、自分に置き換えたらキツイなーと思う」など、ワンオペ育児に対する同情もある。
「家買ったり子どもできたタイミングで絶対こういう異動の話出てくるよね。世知辛いわ」
という声もあり、仕事の関係で自分の住む場所を選べない悲しみが吹きすさぶ。筆者の友人にも転勤妻がいるが、またいつどこに転勤になるか分からず、一から新しい土地に慣れ関係を築くことや、今後の計画が立てにくいストレスを語っていた。トピ主ばかりを責めるのも気の毒だ。
もしこれが、「トピ主(妻)にも積み上げてきたキャリアがある」という話なら、反応はまったく違っていただろう。「ついてくるのが当たり前」という態度の夫なら、さらに同情が集まったはずだ。仕方のないことではあるが、それだけ男女とも「仕事」が大切で、家族の意思や生活は後回しにされてきたとも言える。ただ、転勤族の妻は定職を得づらいという問題もあり、「専業主婦なんだから反対するな」は酷ではないだろうか。
労働政策研究・研修機構の調査(2017)によると、最も転勤が多いのは30代、次に40代。「転勤は家族に与える負担が大きい」と考える人は8割を超える。こうした不満や、介護などで転勤できず離職せざるを得ない人もいる中、「基本的に転勤なし」を謳うも会社も出てきている。人手不足の中、今後はこうした問題に応えることも企業には求められていくのだろう。