世界自然保護基金ジャパンは6月11日、「日本へのエキゾチックペットの密輸」に関する報告書を発表した。エキゾチックペットとは外国から輸入された動物のことで、日本では主に犬・猫以外の動物を指す。
日本ではヘビやフクロウなどのエキゾチックアニマルが人気を博し、一般家庭で飼育されているが、これらの動物の密輸が国際的に問題となっている。税関で差し止められた密輸は2007~2018年で78件、1161匹にのぼる。
感染症法で輸入が禁止されているサルやコウモリの密輸も
種類別に見ると、「爬虫類」が71%、「哺乳類」が19%、「鳥類」が6%となった。感染症法で輸入が禁止されているサル目は185匹、コウモリは10匹の報告があがった。
特定されている輸出国は13で、東南アジアが55%、東アジアが36%を占めた。一件あたりの推定市場価格は150~360万円で、2014年~2018年の合計価格は5410万円~1億2560万円と推定されている。
近年では、新型コロナウイルス拡大に伴い、「動物由来感染症」も危惧されている。密輸では、適切な衛生手続きをする必要がないため、感染症拡大のリスクを高めるおそれがある。
法律に問題 税関をすり抜ければ販売できてしまう
日本では2007年以降、密輸事件で告訴された18人のうち、実刑判決を受けたのはわずか3人にとどまり、刑も比較的軽いものであった。
一方、海外での報道では、少なくとも28件、1207匹の日本向け密輸事件が確認されており、豪州の爬虫類、南米の昆虫などのワシントン条約非掲載種500匹が押収されていた。
日本では、こうしたエキゾチックペットにおける法設備が整っておらず、税関をすり抜ければ合法に入手した個体と偽って販売することが可能となってしまう。
報告書では、法体制の整備をはじめ、野生生物密輸の摘発や立件、処罰の一連の法執行を強化するための政府の強いリーダーシップや関係機関の連携が必要だと提言している。