国民一人当たりに10万円が支給される「特別定額給付金」。しかし、世帯主の口座に振り込まれる話が出た時点で、DVや虐待の被害者が受け取れないという懸念が広がった。ガールズちゃんねるに6月下旬、案じた通りの事例が満載の「旦那さんが給付金をくれない人」というトピックが立った。
トピ主は普段から家庭内別居状態という女性。ほとんど会話をしない夫に、「私と子どもの分(給付金)が振り込まれたら渡してね」と言ったところ、
「駄目だよ、あれは収入の減った世帯主のものなんだから」
と拒否されたという。こちらも生活費を減らされているんだからと何度要求してもそれを繰り返すのみ。夫は自営業のため大変なのかもしれないが、それならそれで自分から状況を説明すべきだと訴え、女性は離婚をほのめかしている。(文:okei)
経済DV?「家族4人小学生の男児2人で渡されるのは食費4万円のみ」
このトピックには、「わたしの主人もくれません。もう諦めています」など、同じ境遇を嘆く人のコメントが相次いだ。申請書は勝手に提出され、個人的に受け取ることは叶わないという。
「私の旦那も勝手に(申請書)出したし私ももらえないよ」
「給付金全額住民税に使われた。(中略)ゲームの課金のし過ぎでお金が無くなったらしい。情けないったらないわ」
「私も。専業だから美容院ダメとか欲しいもの自分で買えって言う人だから」
など、トピ主もそうだが、夫が家計を握っているケースが多い。車検や住宅ローン、お中元やペット費で全て消えることを説明され、納得したという人も。使い道が家族のためなら、個人的にもらえなくても納得できるだろう。
しかし、なかには妻が経済DVを受けていると感じる人も多い。内閣府の男女共同参画局によれば、生活費を渡さない、仕事を制限するといった行為は精神的、もしくは経済的なドメスティック・バイオレンスに分類される。夫に100%家計を握られて給付金は「私には1円ももらえません」と書いた人は、
「月々渡されるのは食費の4万のみ。4人家族(6年4年の男児2人)で足りるわけないだろ!なので毎月自分のパート代から補填してます」
と嘆いていた。夫の稼ぎは悪くないはずなのに生活費をわずかしかくれないため、「なんでこんなにケチなんだろう」という叫びは複数あった。
「世帯主にじゃなくて国民一人一人に対しての給付金だよね?」
他方、「あれは収入の減った世帯主のものなんだから」というトピ主の夫の言葉に対して「世帯主のもの??違うよね」などの反論や、受け取る人の解釈で議論になる場面もあった。
「今回の10万は、世帯主にじゃなくて国民一人一人に対しての給付金だよね?最低だな」
「あれって収入の減った世帯主の為だけのものなんだっけ…?もしそうだとしても世帯主の収入は家族を養う為のものでもあるのではないのか…?」
確かにそのとおりだが、総務省のQ&Aには、「受給権者は、その方の属する世帯の世帯主になります」という答えが出ている。これが話をややこしくしているのではないだろうか。「国民一人当たりに10万円」と言ったからには、世帯主が代表で受け取るとしても、受給権者は「各個人」と明言してほしかった。トピック内には、成人済みで働いており、家にお金も入れているのに「親から給付金をもらえない」とこぼす人もいた。
なお支給方法は、DV被害で避難別居している人は居住する地域で受け取れるという措置があった。同居の場合は「世帯分離」という手段もあったが、自分が国民年金を払うことになるなどデメリットもあり、最善の方法とも言えない。同居のDV被害者が救われないという問題が残り、ハッシュタグ「#世帯主ではなく個人に給付して」には、多くの抗議や意見が寄せられている。