「通行人との名刺交換」に「寺修業」… 怪しげな「新入社員研修」に批判の声も
4月1日の入社式から、まもなく1週間。新入社員研修が佳境となっている会社もあるだろう。業務を円滑に行えるよう、必要な知識やマナーをレクチャーする会社がほとんどだが、中には新人をいきなり社外に放り出すところもある。
ネットには千葉県の幕張メッセに張り出された、ある「注意書き」の写真が出回っている。この施設の敷地内や周辺では、「新人研修」と称して名刺交換を強要する人が多数見受けられるとして、こう呼びかけている。
「不動産投資等の勧誘目的で、後日連絡をしてくる可能性がありますのでご注意ください」
国民生活センターも注意呼びかけ
新人研修を名目とした通行人との名刺交換は、以前から存在を確認されている。表向きは「名刺交換の練習」だが、実際には入手した名刺を上司や先輩社員が営業活動に使うのだ。
国民生活センターのウェブサイトにも「新人研修中だと言うので、路上で名刺交換に応じたら、その後しつこくマンション勧誘を受けた」という苦情が紹介されている。
根負けして社外で会い「興味がない」と断って帰ろうとしたら、複数人で体を押さえつけてくるなど、しつこく追いかけられたという相談者に、センターはこうアドバイスしている。
「典型的で暴力的な悪質勧誘の手口です。毅然とした断りと共に、警察や関係機関への情報提供を。そもそも、名刺や個人情報の渡し先にも注意しましょう」
4月6日には2ちゃんねるに、「今日から研修で、名刺交換するンゴ」というスレッドが立った。スレ主は新人研修の一環として、路上で30枚の名刺を交換するノルマを課せられた。手渡されたマニュアルには、このように手順が書かれているという。
「元気にフレッシュさをアピールして自己紹介→研修の一環で、皆様と名刺交換させていただいております!→名刺交換できたら、大きな声でお礼→後日(2日以内)にお礼の電話」
自衛隊研修に「汚れてもいい靴なんてねぇよ!」
このスレには、他のユーザーから「こういうことやらすクソ企業淘汰されたらいいのに」という批判とともに、名刺交換を求められても安易に名刺を渡すべきでないと注意する声もある。
「散々電話かけ倒した後でマンション売れないとわかると、電話番号を名簿屋に売って小銭稼ぎしよるんど」
このほか新人研修には、業務にどう関係があるのか分からないが、極限状態に身を置かせるメニューを行っているところも少なくないようだ。ツイッターで「研修」を検索すると、こんな投稿がヒットする。
「自衛隊研修というブラック企業っぽい研修が行われるんだが運動着など持ち合わせていない。汚れてもいい靴なんてねぇよ!」
「一泊二日お寺での新入社員研修きつかった~ 正座と座禅ばっかりで足が筋肉痛(泣) 甘いもん食べたい~笑」
業務と無関係な苦行を強要する「ブラック研修」については、社会的な関心が高まっている。日本共産党の吉良よし子議員は3月23日の参院予算委員会で、ある会社が2泊3日で行った寺修行を「人格改造とも言うべき、重大な人権侵害」と批判。塩崎恭久厚労相も、
「優越的な地位を利用しながら、働く方々の精神的身体的な苦痛を与え、尊厳や人格を傷つけることは許されるものではない」
と答弁している。
あわせて読みたい:共産党・吉良議員が「ブラック研修」を大批判