和歌山県の40代女性は、「関東の有名ではない大学」と大学院を卒業。「学歴は必要」と考える理由をこう語る。
「希望していた職種は給料が高いが、大卒以上の縛りがありました。また、規模の大きい会社と小さい会社では新人教育にも大きな差があり、社会人としてのスタートダッシュ時のスキル等、知識の質が別次元だと思います」
現在はメーカーの営業職で年収1000万円を稼いでいる女性。ただ、就職氷河期と重なったこともあり、最初から今の会社に入れたわけではないという。
「超氷河期世代に就職活動をし、三流大学の大学院卒で女性であったため、就職活動は厳しかったです。結果、なんとか希望業界の小規模の会社に入社できましたが、研修期間は数か月、合宿のノリで研修の質も良くなかったです」
院卒の学歴があっても、不景気で企業が採用数を抑えた就職氷河期と重なり、希望する企業には入れなかった女性。なんとか入社できた会社では、「10年働いても収入は700万円ほど。人材や社内システムには限りがあり、自己成長には限界を感じました」という。しかし女性はその後、見事に同業種での転職に成功した。
「私は頭がいいわけでも容姿に恵まれてもいないし、コミュニケーションも苦手な人間ですが、今は同じ業界で転職し、1000万円近い収入を得ることができています。社内システムも整っており、不自由なく仕事に専念できます。社内教育や個人成長の学習リソースへのアクセスも無制限に許可されています。意欲の高い人が多く日々刺激を受けています」
さらに転職先では、新人教育の制度も整っていたようだ。
「聞いた話によると新人は半年近く研修を受け、そこでの研修は厳しいものの、研修後は即戦力に近いほど成長しているそうです」
「生涯賃金の差は1億円以上」「給料に与える影響も小さくない」
女性は納得のいく会社に転職できたが、転職当初は「あまりの仕事の質・量の違いに苦労し、精神的にきつい日々も多かった」という。
「もし(就職氷河期の)新人の時に今の会社に入社できていたら、手厚い新人教育を受けることができたんだろうなと思うと、最初の会社選びは大事であり、大きな会社が与えてくれる教育機会は何ものにも代え難いものと感じています。学歴がないと選べない会社や仕事もあります。学歴はあるほうが自身の将来を選ぶ上で有利だと思います」
女性は新卒時の就職活動こそ時代の流れで希望する企業に入れなかったが、「大学院卒」という学歴を生かして転職に成功することができた。女性は収入についてもこう語っている。
「ちなみに計算したところ、前職で定年まで勤め上げた場合と、今の会社で新人から定年まで勤め上げた場合の生涯賃金の差は1億円以上もあります。(学歴が)給料に与える影響も小さくないと思います」