世帯年収1000万円だという20代後半の男性(神奈川県/その他/正社員・職員/既婚)は、
「貯金500万円。家賃15万円程度。支出に関して困っていることはないが、今後の資産運用についてあまり考える機会がなく、どのように貯蓄していくべきか悩んでいる」
と胸の内を綴る。まだ子どもがいないこともあり、今のうちに資産を増やしておきたいと考えているのかもしれない。
すでに3人の子どもを持つ、世帯年収1000万円で30代後半の男性(奈良県/不動産・建設系/正社員)は、
「毎月積立保険に10万円ほど掛けており、収支はトントン」
と家計状況を明かした。現在の資産配分は「保険800万円、投資信託120万円、現金300万円」という。貯蓄型の保険をメインに、手堅く資産を積み上げる方針のようだ。
制度改正でiDeCoが使いやすく
ファイナンシャルプランナーの大野翠氏(芙蓉宅建FPオフィス代表)は次のように解説する。
<いずれの回答者様も、高い年収に加え十分な現金資産を保有しています。現状を継続していただきながら、くわえて税制面のメリットのある資産運用を取り入れることをおすすめします。
年収1,000万円超となると年間の税負担もかなりのものです。子どもの教育資金関連の公的サポートも所得制限に抵触するため満額もらえないでしょう。税制優遇制度は大いに利用したいものです。
代表的なものは「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。つみたてNISAは、年間40万円の投資金額に対する運用益などが最長20年に渡り非課税になる制度です。
iDeCoは、運用期間中の掛け金が全額控除になり、さらに受け取り時も税制優遇措置が受けられます。これまでのiDeCo制度は、加入期間が60歳まででしたが、2022年5月からは65歳まで加入できるようになりました。
10月からは、さらに使いやすくなります。現行制度では、企業型DC(確定拠出年金)加入者でiDeCoに加入したい場合は、別途規約の定めがある企業の従業員にのみとされています。10月以降は、原則としてその定めがなくてもiDeCoに加入できるようになります。
このようにiDeCo制度は税制優遇があるだけでなく、国民に広く利用してもらえるように制度変更がはじまります。会社員や公務員など働き方によって月の掛け金上限には差がありますが、月5,000円から設定できます。iDeCo制度は運用期間中の控除もあり、運用期間も長期に渡るため一定の節税効果が見込めます。そのため高所得の人はもちろん、いずれの所得層の人でも活用したい制度です。>