「生産性の高い組織」にはびこる”ロジハラ”の実態 「なぜ?」と繰り返し問われ休職した20代女性 | キャリコネニュース
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「生産性の高い組織」にはびこる”ロジハラ”の実態 「なぜ?」と繰り返し問われ休職した20代女性

ロジハラの被害

ロジハラの被害

2020年、新たなハラスメントとして注目を集めた”ロジハラ”。「ロジカルハラスメント」の略で、「正論を振りかざして相手を追い詰めるハラスメント」のことを指します。

世間では「業務上正しい指摘ならハラスメントとは言えない」「ただの甘え」と厳しい声が多く、ロジハラ被害を受けても大っぴらに主張できない風潮があります。ネット上では議論の返しとして「ロジハラやめろ」と使われたりと、ネタ扱いされている感もあります。

しかし、理詰めのマネジメントは、度をすぎれば強いストレスを与えメンタル不調を引き起こすことも。今回は、「生産性が高い」と謳う組織にはびこるロジハラの実態をお伝えします。(文:藤田 里加)

「なぜ自分は成長できていないと思うか」と問われ……

港区IT企業に勤めるAさん(20代)は、会社全体にはびこるロジハラによってメンタル不調を起こし、現在休職中。30代の男性マネージャーに厳しく詰められたのが引き金となりました。

「上司は頭が良く優秀な人ではあるのですが、他人を見下しがちなところも。論理的で率直なものいいをするので、言っていることが正しくても『その言い方はキツい』と感じることがありました」

生産性の高さを社風に掲げるその会社では、組織全体に「論理的に正しいことなら何を言ってもいい」という雰囲気があるそう。

「『なぜ、なぜ』と深掘りすることがマネジメントだという考えが根底にあるような会社なんです。評価面談の際に『なぜ自分は成長できていないと思うか』と問いかけられ、詰められるうちに言葉が出なくなると、『ほら、何も答えられないでしょ?』と返されました。そして、最終的に『もうお前と話す気にはなれない』と言われました」

たしかに、「なぜ」「どうして」を繰り返し、答えを導くマネジメントはコーチングと呼ばれ、一定の効果があるとされています。しかし、相手が言い返せなくてもなお執拗に問い詰めたり、優位な立場を利用して人格否定をすることは業務上の適正な範囲を超えていると言えるでしょう。

ロジハラ上司のもとで休職者や退職者が

上司や先輩に詰められることは当たり前だったというAさん。次第に体調を崩し始めてしまいました。

「詰められることで精神的なダメージを受け、眠れない日々が続きました。激しい頭痛やめまいに襲われるようにもなり、心療内科へ行くと不安障害・軽度うつ状態と診断され、休職を余儀なくされました」

受け手側が「悪いのは自分だ」と思い込んでしまうため、メンタルに不調をきたすまで周囲も当事者もハラスメントに気が付かないのがロジハラです。そんな状況の中、他にもロジハラが原因でメンタルを崩したり職場を辞めた人がいるといいます。

「少なくとも3人が退職や休職に追い込まれました。同じ上司の下にいた同期は、適応障害になり休職しています。また、先輩は『成果を出せていない』という理由で、強制的に担当業務を引きはがされ、自主退職しました。実態は退職勧告でも、論理的に正しければいいという社風のために『仕方がない』で済まされてしまう。論理主義の裏側にパワハラを始めとした理不尽が横行しているところがあります」

社内ではお咎めなし、ロジハラ上司の社内での評価

退職が相次いでいるにも関わらず、ロジハラ上司の社内での評価は高いといいます。

「上司は成果を出しているので、社内からの評価は高いです。論理的思考ができない=仕事ができないという価値観のため、ロジハラはそもそもハラスメントとして認識されていません。上司の上にいる部長も論理派で、ロジハラ気質。埒が明きません」

生産性の高い組織では、「論理的に正しければいい」という価値観がはびこり、ロジハラが発生することも。行き過ぎたロジカルシンキングや、過度に詰めるコミュニケーションは、相手に強いストレスを与え、場合によってはメンタル不調を引き起こす危険性があることを知っておくべきでしょう。

【筆者プロフィール】新卒で大手メーカーに入社し、新卒採用を担当。現在はベンチャー企業で働き、副業としてWebマーケティング・ライティングを行っている。2020年12月より(株)STORY CAREERに参画。HSP気質を持ち、「働く上でのメンタルヘルスケア」を主なテーマとしている。

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