男性は旅行代理店の営業担当として、10年間勤務をしていた。その企業は営業実績のみが賞与・昇進に関わっており、とにかく数字に対してシビアな会社だった。
「私がいた支店には全国No.1の営業いました。私の上司で営業面では非常に勉強になりますが、その反面横暴で、パワハラ体質でした」
その上司は完全実力主義の考え方を持っており、
「『俺より数字が悪いのに早く帰るなんておかしいな』と大きな声で嫌味を言っていました。そのためみんな帰ることができず、毎日23時?0時過ぎまで残業をしていました。もちろん残業代は出ず、すべてサービス残業。タイムカードは出勤のみ押して、退勤は押すなと指示されていました」
と語る。
さらには休日である土日も出勤を強要され、男性はほとんど休みを取ることができなかった。
「休みを取った社員がいると、それに対しても大きな声で嫌味を言っていました。そのため休みを取る社員はほとんどいませんでしたね」
「自腹を切るのは当たり前。ボーナスはほとんど無くなってしまった」
男性の上司は郊外に住んでいたため、新幹線通勤だった。そのため終電がなくなるのも早い。しかしほぼ毎日終電後まで働いており、従業員に営業車で夜中に送らせていた。出張の際、空港付近に前泊するとなると「成田まで送るのは日常茶飯事」だった。
「自腹を切るのも当たり前という空気感があり、支店の数字が達成できないかもしれないという状況になると、自腹でチラシを作らされました。黒字になったら返すと言われましたが、黒字になっても結局帰ってきませんでした。その金額は数十万円にもなります」
男性は「夜中まで居酒屋で怒鳴られることもあり、毎日が憂鬱でした」と語る。現在は別の会社で元気に働いており、毎日充実感を味わっているようだ。
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