保育士や幼稚園教諭は子どもの命を預かる責任の重い仕事だ。しかし長時間労働や報酬の低さなど、ブラックな労働環境がしばしば話題になることも。
キャリコネニュースが募集した「ブラック企業」アンケートに、「まず保育業界がブラックの所が多い」と回答した、20代後半女性の声を紹介する。(文:コティマム)
※キャリコネニュースではブラック企業体験談を募集しています。回答はこちらから。https://questant.jp/q/HQI6E1OV
「制服の準備やメッセージ、ピアノ練習しないといけない」
「8時出勤、基本20時終わり。『19時で帰れたら早いね』なんて言ってた。作品展とか行事がある時は夜中の12時まで仕事して、次の日はいつも通り。お泊り保育はほんとに徹夜で、30時間以上の労働をすることもあった」
長時間労働の上に、持ち帰り仕事も多いという。
「少ない時で30分から1時間。終わらない時は家で徹夜で仕事して、また朝から保育ということもザラ。書類仕事だけじゃなくて、子どもの制作の準備や衣装、メッセージを書いたり、ピアノも練習しないといけない」
子どもの世話をするだけでも大変な中、業務過多といっても過言ではない。これだけの仕事量で、どれほどの報酬なのか。
「残業代は見込みか、そもそもない。目に見えない仕事を沢山してるけど、それはお給料に反映されてない事が多い。有休だってほとんど取れないから、幼稚園時代は取ったことなかった。ちなみにその時の手取りは15万円ちょっと」
これでは働くモチベーションも維持できないだろう。女性は「正直、労働に見合った給料ではないし、4年働いたがほぼ給料は変わらず」と嘆いている。
この幼稚園では、人間関係にも悩まされた。園長先生は他の職員が同じミスをしても、女性にだけ特に厳しい叱責や説教を繰り返したそうだ。何度も謝罪させられた上に「1時間立たされて」責められたこともあったという。
「8年の保育歴があるにもかかわらず、新卒の妹とほとんど変わらない給料」
女性はその幼稚園を退職し、現在は子ども園に勤務している。しかしこの職場にも不満はあるようだ。
「転職サイトを通じて『持ち帰りがない』と聞いたのに、結局持ち帰りの仕事はある。しかも、園独自の30分前行動というのがあり、本来の勤務より30分早く保育に入る」
このルールには、「1年目は教えて貰うことが多く、先輩の時間を”使わせて貰ってる”から(その分仕事をする)」という理由があるそうだ。
しかし、「実際は個別に時間をとって教えてる訳ではないし、先輩になったからと言ってその分早く勤務が上がれる訳でもない」という。現在は勤続4年目で15分前勤務になったが、「自分の代までの風潮なのか、早めに来てないと先輩に渋い顔をされたりすることが多いので、結局早く来ないといけないことも多い」とこぼす。
この園でも、やはり行事の前後は(早い時で3時間近く)早く出勤し、遅くまで残ることも多い。研修は休日や仕事終わりからのことも多いため、「超過で働くことも多い」そうだ。
「10時間分の残業代ということで1万円ちょっと出てるが、9時間労働で1時間の休憩が取れてないので、10日働くだけでその金額に達してしまう」
女性は現在、「なんとか手取りで18万円ちょっと貰えている」というが、
「8年の保育歴があるにもかかわらず、新卒の妹とほとんど変わらない給料という時点で、給料の低さがうかがえる」
と自嘲気味に語る。最後に「総じて言えることは、目に見えない仕事が多い上に命を預かる仕事だが、給料が安いのでしんどい。保護者の対応で気持ち的に落ち込んだり、女だけの職場になるので人間関係が上手くいかないと病んでしまうことも多い」
と辛さを訴えた。
こうしたブラックぶりがまかり通れば、保育の担い手が減ってしまう恐れもある。現場で働く人々が報われる労働環境を整えられるべきだろう。