女性は当時、ある客先に会社の2トントラックで大きな荷物を届けることになった。会社は運送業ではなく、「ふだん軽自動車に乗っている私にとっては、トラックの車体はかなり大きく道中不安でしたが、なんとか無事お家にたどり着くことができました」と振り返る。
「そのお客様は地主さんで、地域でいろいろ経営されているのもあり、とても立派な家にお住まいです。 敷地が広いことに油断したのか、あろうことか私は自分の車体の高さを見誤り(運転席と荷台の高さが違うことを忘れていた)、下屋(編注:玄関上など母屋から張り出した屋根)に入り込もうとしてそのまま下屋の屋根を破壊。バリバリミシミシすごい音がしました」
「幸い会社とお客様の付き合いが長く会社ぐるみで良く思っていただいていたこと、とても裕福なお家なので修理費立て替えが余裕なこともあり、お客様からはまったく怒られたりご機嫌を損ねることはありませんでしたが…」
なんと得意先の家の屋根を壊してしまったというのだから、女性が肝を冷やしたのは言うまでもない。
しかも、「実はそのお客様、私が通っていた自動車学校のオーナー」だったという。それを知ったのもその客先で、おばあちゃんやおじいちゃんまで出てきて「落ち込む私の気を紛らわすために気を遣って」いろいろ雑談する中で知らされたそうだ。女性は
「『いやもう本当にその節はお世話になりました…なのにオーナーのお家、車で壊してごめんなさい…」としか言えませんでした」
と、さらに身の縮む思いをしたようだ。ちなみに、そのとき女性は一人ではなく「助手席には入社1か月の新人さんを乗せていた」という。女性はやらかしの影響を
「その後新人さんは絶対にトラックにだけは乗ろうとしませんでした……(トラックが必要な仕事を全部うまく逃げるかスルーする)」
と追記していた。