「2週間ちょっと休みなしで働いた頃だろうか?事務所に誰もいなくて、ふと魔がさして工場社員のタイムカードをこっそり見てみた」と女性は振り返る。
「そこには退社時間夜中3時、出社時間朝7時(どっちか忘れたが5時表記もまばらにあった)が連なっていた。それを見た瞬間ゾッと背筋が凍った。このままだと殺されると本気で思ったのは後にも先にもこの瞬間だけのように思う」
なんと深夜3時に帰宅し4時間後に出社、場合によっては2時間後にもう働きだしているのだ。10数年前のこととはいえさすがに酷い。あまりの長時間労働に衝撃を受けた女性は、次のような行動に出る。
「本気で逃げることを決意し、どうやったのか記憶がないが、確か倒れるとかして病気を装って何とか自宅に帰ることができた」
「1日休みを取るも社長から出社命令とのことで体調回復しないまま会社へ。社長からあれやこれや怒られ、トドメの『やる気ないでしょ?』の一言で、やっぱりこのままだと殺されるわと確信して退職」
工場から帰宅後は怒涛の退職へとなだれ込んだのだった。
「まだ外が明るいうちに家に帰れることにとても感動した」
その後女性はふたたび就職。もちろん前職で懲りており、「残業恐怖症になったので、次は出張&残業なしのところに入った」という。転職後は
「やりたかった事務作業だし、休日もしっかり取れた。何よりまだ外が明るいうちに家に帰れることにとても感動した」
と充実していた模様だが、順風満帆とはいかなかったようだ。「しかしまだ新卒だし、人付き合いも下手でKYだったため、お局から目をつけられ、倒産で退職するまでお局からモラハラにあい続けた」と打ち明けた。
それでも、
「何とかモラハラに耐えて居続けられたのは、途中から味方が出来たりしたなどの要素はあるが、このブラック企業を経験していたからが大きい」
と語る女性。こうした経験から会社選びに慎重になり、「最終的に出産で退職するまでとても良い会社に勤めることができた」という。その会社でもストレスはあり、毎日残業や休日出勤、出張もしたそうだ。しかし、働く中で悟ったことをこう綴っていた。
「やりたい仕事であり、この会社(社長)のために頑張りたいと自らが思えれば、残業や休出は全く苦ではないんだなとやっと気付けた」
あまりにも過酷なブラック企業体験が、女性のストレス耐性のレベルを爆上げする結果となったようだ。
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