女性は看護助手の求人があった病院に赴いた。少し早めに着いて小さな応接室に案内され、簡単な書類に記入して面接を待っていた。しかし時間になっても中々呼ばれず、事務の職員に
「前の方の面接が長引いているので、もう暫くお待ち下さい」
と言われたようだ。結局女性の面接は予定時間よりも30分程過ぎて始まった。案内される時に事務の職員からは謝罪があったものの、面接室に入ると
「名乗ってからそこの椅子に座って」
と高圧的に言われたという。面接官は人事の中年男性とベテラン看護師(女性)の二人で、彼らは
「待たせた事への謝罪も自分達が名乗る事もなかった」
ようだ。そして数回の転職歴がある女性の履歴書を見ながら、男性の面接官は一社ずつ
「何で辞めたの?」「この会社って大手?」
と言った口のきき方で質問してきた。志望理由を答えた時には「揚げ足を取る様に否定」され、それを受けてベテラン看護師も同じ様に否定的な事ばかり発言したという。女性は
「真夏のうだる様な暑さの午後にスーツを着て、やる気を持って応募して面接に赴いて、待たされた挙げ句の対応に例え受かっても絶対に辞退しようと心に決めて、とても不愉快な思いで帰路に着きました」
と怒りをあらわにする。結局その面接には落ちてしまったようだが、
「落ちて良かったです。あんな病院。病院名に福祉って入っているのが鼻で笑っちゃいます」
と本音を明かした。