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「死人が出るとまずいと…」 熱中症で倒れる人が出てやっとエアコンを使い始めた“昭和な職場”で働く男性

失神したときの状況を詳しく聞くと、やはりその日も「真夏で空調無し、空気の通りも悪く室内は32度の状態」だったという。風もない室内で32度は地獄だろう。

「特に私の席は空気が停滞するようです。意識が無くなる直前は10分おきに水を飲んでおり、既におかしくなっていたのだと思います。2リットルの水分を摂った後、休憩室の椅子に座ったまま意識が遠退いていき、気が付くと30分経っていました」

明らかに異常な事態だが、自分で意識を取り戻したのは不幸中の幸いだった。男性は「さらに2リットル水分を補給して仕事に戻りました」と振り返る。それほどまでに水分補給しなければならない状況なのに、社内では特に対策は取られなかった。

しかし案の定、今年7月にも熱中症で倒れる人が出てしまった。

「急に上司達が慌ただしくなり、室内で軽作業を行っていたシニア社員が抱えられて運ばれてきました。しかもその社員は出社初日です。しばらく椅子で休んで自宅へ帰されていましたが、救急車を呼ばなくていいのか疑問が残りました」

会社の対応は不信感を覚えるものだったが、これがきっかけである変化が訪れた。

「絶妙に暑く、扇風機が3台フルパワーで稼働しています」

「さすがに死人が出るとまずいと思ったのか、その翌日からクーラーが朝から稼働するようになりました」

倒れる人が出てようやく会社側も危機感を覚えたようだ。もちろん「今までに比べると快適」と語る男性だが、「設定温度が27度で、室内は28度」ということで「暑いです」と悲鳴をあげる。

「絶妙に暑く、扇風機が3台フルパワーで稼働しています。恐らく皆感覚がおかしくなっています。効率、出来高、生産性うんぬん言われますが、こんな劣悪な環境で働いていたら疑問しかないですね」

節電の意識は大事だが、この状況で高い成果を求められるのも無理がある。しかし社員たちは陰では「異常」と言っていても、表立っては誰も反発していないそうだ。社内はそこまでコストカットに必死な雰囲気なのだろうか。男性はこう会社を評している。

「赤字が出ているわけではありませんが社員を体力ギリギリまで働かせる感じです。悪い会社ではありませんが昭和精神が抜けないのだと思います」

昭和精神と言ってももはや今年の夏は昭和の夏の気温とは全く違う。会社は働く人の健康を守るためにも空調管理に配慮してほしいものだ。

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