面接官の3人は机と椅子を並べ終わると、ようやくソファを指さして「座っていーよ」と女性に指示したという。いくら学生とはいえ、初対面の相手にありえない言葉遣いだ。しかも面接官は、女性の
「ありがとうございます、失礼します。○○大学の紹介で来ました~~と申します。本日はよろしくお願いいたします」
という礼儀正しい挨拶にも、なぜか「無言」を貫いたという。
ようやく始まった面接の中身も、ろくなものではなかった。女性は「最初から採る気ないなと思える、否定ばかりの質問でした」と振り返る。
「何でウチ(を受けたの)?」
「(保有資格を見て)この資格、何に使うの?」
「ウチはあんまりパソコン使わないから、パソコンの資格なんて意味ないよ」
「事務希望なの?ウチは介護もリハビリも事務も全部してもらうよ」
そもそも事務員募集の面接のはずだったが、女性は面接官の質問に対し「介護もリハビリもできます」と前向きに答えた。しかしそれが気に入らなかったのか、再び面接官が無言になったため、女性はどうしたらいいのかわからず困惑してしまったという。
「数年後に病院は潰れ、更地になっていました。そりゃアレでは潰れるよね……」
その後、面接官の3人は立ち上がると、女性の資格をバカにするような会話をしながら椅子と机を片付け始めたそうだ。女性は意味がわからず、「(面接が)終わったってことでいいのか?」と戸惑った。退室のタイミングを見計らっていると、「まだいたの?帰っていいよ」と言われたため、挨拶とお礼をしてその場をあとにしたという。しかし、面接官はなおも女性の神経を逆なでする行動を取ってきた。
「階段を下りていると事務長が追いかけてきて、ニヤニヤ笑いをしながら『結果は後日連絡しますね』と明るく言われ、アホらしくなって『はぁ』とだけ返しました」
女性はバカにされた悔しさのあまり、「その日は帰って泣きました」と明かしたが、
「後日、大学側にこのことを伝え、この病院の募集取消をしていただきました」
という、ささやかな対抗策を忘れなかった。ちなみにその病院は大学に対し毎年事務員募集をかけていたが、採用に至ったことはなかったそうだ。
「しばらくして届いた結果はもちろん、不採用。数年後にその場所を通ると、病院は潰れ、更地になっていました。そりゃアレでは潰れるよね……と思いました」
採用する気がないのに面接をされては、受ける側はたまったものではない。しかし女性のためには、かえって不採用で良かったといえるだろう。
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