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「土下座で就活に成功した人」が本当にいたので、話を聞いてみた。

画像はイメージ

就活で土下座をしたら、内定が貰えた。そんな「伝説」少なくないはずだ。しかし、そんなものは古い時代の昔話。このご時世に、そんな無茶な方法で内定が貰えるはずもない。ところが、今回話を聞いた30代男性は「内定の決め手は土下座だった」という。(取材・文:広中務)

内定もらえず、アポなし土下座

関西の有名私立大学を卒業した男性が、新卒で志望していたのは映像制作会社だった。

「10代の頃から、同世代が見ないような古い映画ばかり見ていました。大学もずっと映画館に通ったり、当時はDVDを買ったり。なので、
就職活動では東宝、東映に始まり映画や映像制作をしている会社に、手当たり次第に応募しました」

そんな男性が特に好むのは1960年代から70年年代にかけての日本映画である。正直、この世代で、よくもまあそんな映画をみているものだというくらいに知識がある。

「将来はプロデューサーになって、自分の好きな映画を好きなように采配してつくることができればいいなとか、漠然と考えていたんです」

しかし、就職活動は上手くいかなかった。当然である。ヒットする作品は様変わりし、映画の撮影からビジネスモデルまでも、業界はまったく別物になっている。男性のように、かつての映画界に憧れるような学生は、単に「面倒くさい」と思われるだけだろう。それでも、いくつかは内定をもらえたのは、映画への情熱が買われたからだったのか。

そこに大きな転機が訪れた。もともと新卒募集していなかった「とある会社」が突然募集を始めたのだ。

名前は伏せるが、映画業界ではよく知られた、とある老舗企業である。タイミングは4年生の秋。まさに一般企業で「内定式」が行われるようなタイミングだった。

男性は迷ったが……。

「これはどうしても入社したいと思い、退路を断つために、ほかの内定を蹴りました」

応募段階でそこまでする必要はどこにもない。めちゃくちゃな決断である。その覚悟もあってか、書類審査、面接と試験はとんとん拍子に進んだ。そして12月の最終面接も、無事終了したのだ。

「その時、内定は年末から年明けくらいになると、ふんわりといわれたんです。クリスマスを過ぎ、大みそかまで電話がないかと待ち構えていたんですが、連絡がなく。悶々としたまま帰省もせずにアパートで三が日を過ごしました」

さらに仕事始めの4日にも連絡がない。ここで意を決した男性は翌5日に大胆な行動に出た。

「新幹線で東京まで出て、人事部長をアポなしで訪問したんです」

運良く出社していた人事部長は、何事かという顔で応接室にやってきた。そこで男性は、ずっと結果を待っているという気持ちを切々と訴えた。

「どうしても入社したい、といって土下座しました」と男性は話す。

困惑した様子の人事部長には、「わかったから、もう数日待ってくれ」と言われてしまった。そして、ついに三日後、内定通知がやってきたのだ。

「自分の中ではアポなし訪問と、土下座は効果があったと確信しています。きっと、自分は当落線ギリギリで、あれがなければ内定を貰うことができなかったでしょう」

映画への情熱と退路を断った覚悟によって、彼は夢の就職を果たしたのであった。

ところで、この男性は現在すでに映画業界を去り、全く別のクリエイティブ系企業に勤務しているという。

「やっぱり21世紀に、昭和のイメージで作品作りに情熱を燃やすなんて無理でした。なんで、まったく別のところで情熱を燃やすことにしたんです」

なんとまあ。土下座までして入社した会社に、あっさりと見切りをつけて次へ進めるとは。この思い切りの良さこそが、男性の持ち味なのかもしれない。

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