女性は都内の病院で勤務した後、地元に戻り結婚。二人の子どもも少し大きくなったのを機に「しばらく現場を離れていましたが、復職しようと近所のクリニックに応募」したという。ところが
「履歴書を書き、面接当日。面接官は医院長先生とその奥様でした。久しぶりの面接で緊張しながら臨みましたが、まず言われたのは『子どもがいるんじゃ仕事は無理』という耳を疑うような言葉でした」
子育てとの両立が難しいのは確かにそうかもしれない。だからといって本人の前で直接言う必要はないだろう。追い打ちをかけるように、女性はこんなことも言われた。
「そして『都会の看護師してた人はプライドが高いから…』と。大切な我が子を社会のお荷物扱いされ、自分のキャリアも理解してもらえない。久しぶりにクリーニングに出して準備したスーツ姿の自分が、なんとも情けなくなりました」
と、自身のキャリアまで否定された女性。「都会の人はプライドが高い」というのは、偏見ではないだろうか。後日、女性のもとに不採用の通知が届いた。
「しかも何を哀れんだか、500円の図書カードがついていました。あまりに腹が立ち、採用されなくて本当に良かったと思いました」
図書カードは交通費の代わりといった意味合いがあったのだろうか。しかし女性は素直に受け取れなかった。「届いた図書カードは、とても使う気にならなかったので地域のボランティア団体に寄付し、有効活用していただきました」と、回答を締めくくっていた。