この会社では、出退勤を専用のカードで管理していた。各自のカードが会社にあり、出社したら機器にタッチし記録するタイムカードのような仕組みだ。しかし各自のカードは誰でも触れる状態だった。
「ある部署のベテラン社員が遅刻や早退をしたとき、定時になったら出退勤を代わりにつけるよう、若手社員に依頼していました。つまり代返です。それは何年も続いていたことで、依頼していたベテラン社員は若手社員に1000円ほど渡していたそうです」
悪いのはむしろベテラン社員だが、40代の男性上司は若手社員全員を犯人のように扱ってきたという。
「上司は『若手全員が関与している』と先走って、関与していない私や他の若手社員にも強い口調で3回にわたって高圧的に詰めてきました。追及は一対一の時もあり、特に私はまるっきり犯人扱いされて拷問のようだと思いましたね。上司はなぜか楽しそうでした」
上司は普段、口頭で済む話も社内のメッセージツールで依頼してくるなど、他者とのコミュニケーションが苦手な様子だったという。ところが、部下を責めるときには生き生きとしていたのだ。理不尽を感じた女性が「関わっていないのに、なぜこんなに責められるんですか」と聞いたところ、上司からは驚きの答えが返って来た。
「『君はあの部署と仲がいいから(不正を)やってるでしょ』と言われました。『はぁ?』と呆れましたね。上司は会社では一緒にランチすら行ってくれる人がいないので、私みたいな陽キャは敵にしか見えないか~。なんて思いました!だからといって、証拠もなければただの言いがかりで嫌でした」
しかも3回目には、関係ない業務の説教まで始まる始末だった。
「元々5人しかいない部でギリギリ回っていたのですが、2人も退職してしまい現在は業務が回っていない状況です。それなのに私の職務怠慢と言われました」
不本意な犯人扱いから始まり、人員不足の責任まで押し付けられてはたまらない。
上司に「報連相を徹底してほしい」と言い返す
女性はこれに我慢ならず、上司に言い返してしまった。
「私も上長の業務態度について不満があります!と言い返しました(笑) 報連相を徹底してほしいと要求しました。派遣社員が入るとき毎回当日の朝に知らされたり、朝礼時間の変更を当日30分前に言われたり、こりゃないでしょと思っていました。それに会議で離席するとき毎回何も言わずにそっといなくなるのは困るので一言欲しいと言いました」
忙しい時に助けてもくれず、コミュニケーション不足の上司にこれまでの不満を一気にぶつけてしまった。不祥事に関する社内のゴタゴタは2週間ほど続いたが、落ち着いた後も上司との関係はこじれてしまったようだ。
「上司は私のことが嫌いなのか、仕事を全然振ってこなくなりました。業務はピーク時に比べると1割もなく暇になりましたね。私が関与している証拠は出てきませんでしたが、社会人の基本である報連相を徹底してほしいと言ったことで、反感を買ったのだと思います」
一連の出来事で上司に呆れ不信感が募った女性は、職場で退職届を用意したそうだ。
「会社指定の退職届をそっと印刷して、記入しました。まだ提出はしていませんが、いつでも提出できるようにクリアファイルに入れてデスクにしまい、大事にお守りのように扱ってます」
ただ、現在は怒り心頭だった当初より落ち着き、「生活費のこともあり当面提出する予定はありません」とのこと。グループチャットから追い出されるなどハラスメントも受けているが、
「上司と違って友達や味方になってくれる人が多いので、なーんもダメージはありません。むしろ仕事減って、カスハラの対応しなくて済んだからラッキーと思っています!!」
と語っている。人手不足なのに仕事を振らないとは、よほど不愉快だったのだろう。メンタルが強いのは若手社員のほうだったようだ。
※キャリコネニュースでは「『この会社もう無理!』と思った瞬間」を実施しています。回答はこちらから https://questant.jp/q/XLVYZO65