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「ゆるい就職」ワークショップが大盛況 「正社員で働いたら負けだ!」と気勢あげる

参加者からは様々な意見が出た。

参加者からは様々な意見が出た。

これまで当たり前とされてきた週5日勤務ではなく、「週休4日で15万円」の派遣スタッフや契約社員の仕事を若者に紹介する「ゆるい就職」のワークショップが9月18日、東京の中野サンプラザで開催された。

同サービスは、人材会社の「ビースタイル」が企画。取締役が全員ニートのNEET株式会社の仕掛け人として知られる慶応大学特任教授、若新雄純氏がプロデューサーを務める。新卒生から25歳くらいまでの若者が対象で、ワークショップには約70人が参加した。

レーシングドライバーになる夢を抱く4年生も参加

9月初旬に開催された説明会では「ゆるい就職」の趣旨説明がメインだったが、今回は参加者が主体となるワークショップ形式だ。冒頭で若新氏が登場し、「発表に点数をつけたり、評価したりといったことはありません」と強調。参加者の自由な意見交換を促した。

まずは、説明会でも議論になった「週4日の休みをどうするか」というテーマについて、参加者同士が4~6人ずつで話し合った。

現在は葬儀屋で働いている25歳の男性は、「週休4日を使って起業の準備をしたい。みんなが楽しく働ける会社を作るのが夢」と意気込む。この男性は高校卒業後、航空自衛隊に入隊して3年の任期を終えた後、消防士を経て現在の仕事に就いているという。

現在大学4年生だが、レーシングドライバーになる夢をあきらめ切れない人もいた。レーサーの養成学校の試験には受かったので、週3日で費用を貯めながらトレーニングをしたいと考えている。

もっとも、彼らのように明確な夢や目標を持って「ゆるい就職」を活用しようと考えているのは、ごく一部の参加者のようだ。今年の春に大学を出て不動産会社で営業として働いたが、すぐに辞めてしまった男性は、

「業界のことをよく知らずに就職したらノルマもきついし、地獄のようだった」

と振り返る。週休4日は、今のところ将来のために語学の勉強をしたり、旅行をしたりするなどして時間を費やしたいと考えている。

週3日勤務の「パフォーマンス向上策」を議論

参加者に共通していたのが、「週休2日では自分の時間が持てない」という感覚だ。プログラマーとして正社員で働く男性からは、こんな意見も出た。

「就職して『今の若い人は、正社員で働いたら負けだ』と身を持って体感した。週休2日だと、何もできないまま年をとっていくことになる。生きる意味ってなんだろう、と思ってしまう」

いちど社会人を経験した既卒者の方が、こうした現状の働き方への不満をより強く持っているようだ。参加していた24歳の男性も、8時間勤務で1日の3分の1が終わってしまうことに、納得できないという。

「3分の1は睡眠で、自由になる時間は3分の1しかない。20代の若いころにしかできないこともあるし、こんな生活では面白みにかける」

ただ、週休4日で15万円では、それなりの成果を出さなければ、企業としては負担になるだけだ。ワークショップ後半では、「週3日勤務で、どうパフォーマンスをあげるか」についてグループに分かれて議論し、発表を行なった。

最も多かったのが、週休4日を「完全オフ」として過ごすことで、働く3日間の集中力やモチベーションを最大限に高めようという意見だ。休日は趣味に充てたいというグループからは、

「週5日勤務だと、人生の全てが仕事になってしまうが、週3日だけ趣味のために働くと考えると、モチベーションが保てる」

といった意見が出た。一方で、休日に「仕事の勉強をする」「別の仕事をする」ことでスキルを磨き、高いパフォーマンスを発揮したいという案もあった。副業で身につけたスキルを派遣先にフィードバックする、という人もいた。

週休4日なら「外部からの視点」で問題提起できる

また、多くの企業は「外部からの視点で新しい提案や問題提起」を望んでいるので、週3日の派遣社員という立場から「会社を客観視できる」と指摘する人も。これには若新氏も「面白い!」と興奮する。

「確かに正社員で週5日働いていると内向きになってしまい、客観的視点が持てなくなる。もし週3日の人が会社の業務を効率化して、(フルタイムの)正社員の給料が20万円だけど、週3日勤務の人が30万円ということになれば、これは勝ちですよ。そうしたらみんな給料の10%を、僕の口座に振り込んでください(笑)」

さらに、少し個性的なメンバーが揃ったグループからは、「正社員は大変だなぁ、と思いながら仕事をする」ことで何とかモチベーションを維持する、という意見や、「仕事のときは別人格になる」といった案が出ていた。他のグループからも、

「ストレスを溜めた正社員のクッション役になることで、存在価値を高める」

「ニートになりたくない、という気持ちで頑張る」

といった冗談のような案も。「隠れてサービス残業をすればパフォーマンスがあがる」という本末転倒のような発言も出て、会場では笑いが絶えず、終始賑やかなイベントだった。

イベント終了後、今春大学を卒業して現在ニートだという23歳の女性は、キャリコネニュースの取材に「みんなと話せて楽しかった。『ゆるい就職』でこれから頑張って働きたいと思った」と話していた。実際のマッチングは10月末から、勤務は11月から始まる。

あわせて読みたい:「ゆるい就職」説明会「ただ働いているだけじゃ幸せになれない」

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