上司の一言にむかついた経験をした人は多いだろう。しかし東京都の50代後半の男性(事務・管理)は、過去に経験したある出来事を振り返った。
当時、男性が勤めていたメーカーでは大型の新製品を発売し、営業職だった男性にはきついノルマを課せられていた。販売会議では、「気合と根性でとにかく売ってこい」「売れないやつはカスだ」などの言葉が飛び交う会社だった。
あるとき部長から「月初(営業)予算の2倍必達という大号令」が下りた。締めは月末だが、その3日ほど前に突如ノルマが2倍になったのだ。そして締め日になり、課長に「全然足んねーじゃねーか!! お前、そんなことで恥ずかしくないのか?」と罵倒された男性は激怒。
「課長はあんな数字、最初からいけると思ってましたか?月末直前になって、それまでの売り上げとほぼ等しい数字ぶつけられたって無理に決まってるでしょう!! 私は月初の数字は達成しましたので何も恥入ることはありません」
と課長に言い返したのは【前編】で伝えた通りだ。課長の反応は……(文:天音琴葉)
「最後に帰ってきた私に八つ当たりしたかったんでしょう」
「課長は私の語気に驚いたのか『あ』とか『う』とか言ったきり何も反論してきませんでした。(中略)この時すっかり頭に血が上っていたらしい私は、前述の言葉を言い放って以降、課長が何を話したのかについての記憶が全くありません。何か言われても聞く耳を持たなかったとは思いますが」
あとから知ったこととして、ほかのメンバーの結果も似たり寄ったりの状況で、「最後に帰ってきた私に八つ当たりしたかったんでしょう」と付け加えた。しかし男性は課長に本音を言えて、さぞかしすっきりしたかと思いきや……このあと災難が続いたようだ。
「私はその次の異動のタイミングで地方の小さな営業所に左遷され、そこでぶち当ってしまった無理解な上司に、健康上の都合でどうしても避けたいと訴えていた職務に就けられてしまい、結果として鬱を発症し、その後も度々襲ってくる鬱の波に苦しめられています」
こうして男性は休職し、そろそろ2年が経つと明かした。一方で件の課長はというと……
「労いの言葉一つ発することのなかった課長は、その後別の部署でも同じことを繰り返し、メンタル不調者を続出させたので、役職ではあるものの人事権のない、部下のいない業務に回され、先頃定年退職しました」
この会社では、世話になった社員が音頭を取り、定年退職を祝う会を催すのが通常だというが、課長に関してはそうした声が一切上がらなかったそう。「もし催されても行く気なんかさらさらありませんでしたがね」とも……。
課長の件は20年前の話だというが、鮮明に覚えているほど強烈な出来事だったようだ。この件がなければ左遷もなく、鬱病も発症していなかったかもしれないと思うと、やりきれないのだろう。
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