毎週の販売会議はこのような感じだった。
「『気合と根性でとにかく売ってこい』『売れるまで帰ってくるな』『売れないやつはカスだ』そんな言葉ばかりが飛び交う課長の独演会。メンバーは皆、辟易していましたが、サラリーマンの悲しい性で皆下を向いて耐えていました」
一方で男性は、成績が比較的よかったが、メンバーの中で年上であったため「怒られ役」だったといい、成績に関係なく怒声を浴びていた。そんな日々が続いたある月、突然部長から「月初(営業)予算の2倍必達という大号令」が下りた。
締めは月末で、命令はその3日ほど前とあまりにも急だったが、会社はその新製品に賭けており、おそらくは社長から直々の命令があったのだろうと男性は思った。
営業担当には膨大なノルマが課されることになったが、課長は部長からの命令をただ伝えるだけで、具体策を何も示さなかった。男性の担当する店の売れ行きは悪くなかったが、すでに許容量を超える在庫を抱えていたことから、「ギリギリで月初(営業)予算達成できれば上出来だ」とし、数字には執着しなかった。
こうして月末の締め日を迎えた。夜になって外回りから帰ってきた男性は、課長に会議室に呼び出されたのだった。
「全然足んねーじゃねーか!!」罵倒されたことより許せなかったのは……
課長に「お前、最終的にどこまで行った?」と聞かれた男性は、「月初(営業)予算だけは達成しました」と答えた。すると課長に
「月初予算だ!? それじゃ最終の見込みに全然足んねーじゃねーか!! お前、そんなことで恥ずかしくないのか?」
と罵られた男性は、
「それよりも許せなかったのは最初に『ご苦労さん』とか『お疲れさん』とかいう言葉が何もなかったことです」
と打ち明けた。そもそも課長が拡売金など拡販につながる策を何一つ出さなかったことを棚に上げている様子に、男性は納得いかなかったようだ。当時の心境を次のように述べた。
「頭に血が上った私は 『課長はあんな数字、最初からいけると思ってましたか?月末直前になって、それまでの売り上げとほぼ等しい数字ぶつけられたって無理に決まってるでしょう!! 私は月初の数字は達成しましたので何も恥入ることはありません』。かなり語気を強めて言い返しました。場合によっては殴ってやろうかとも思ったくらいです。具体的な策を何も示さずにただ『部長の命令だから』で済んでしまうなら、課長なんかいらねーじゃねーか、とも思いましたが、そこまでは言いませんでした」
このあと課長が取った行動はいかに……【後編】へ続く。
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