クレーム対応が嫌で接客の仕事を辞める人は多い。企業は、客商売にクレーマーはつき物だと放置していたら、ますます人手不足になるだろう。
クリーニング店に勤務している50代女性は、数ヶ月前の出来事を振り返った。ある客が「ズボンのプレスラインが2重になっているので再プレスを希望」と言い、来店した。その店では、
「預かった時の個別番号のタグが付いた状態で、預かりからひと月以内であれば無料で再プレスは可能です」
という方針だが、客が持ち込んだズボンにはタグが付いていなかった。そのため「無料で預かれるか確認しないと……」と説明した途端、客は大激怒したという。クレーマーと化した客はこのあと思いも寄らない行動に出たのだった。(文:天音琴葉)
「自分の要望を通すための弾丸トーク」を30分以上も
店先で客は「自分の要望を通すための弾丸トーク」を30分以上も続けたというから、もはや業務妨害だ。女性が「無料になるのかは確認次第連絡する」と何度も繰り返し、ようやく店を出て行ったが、ホッとしたのも束の間だった。
「そこから数十分後、上司からこの件の確認の電話が……。再プレスを持ち込んだ客が、店を出てすぐ本部に連絡をしたらしい」
客は女性では埒が明かないと思ったのか、直接クレームを入れたというのだ。しかし女性は店の方針に従って説明しただけなのに本部にクレームを言われ、たまらなかっただろう。次のように話を続けた。
「上司2名から電話が……。再プレスはそのまま受けることになったのですが、再度その客は来店して対応した私を罵倒。挙句、自分が納得せず連絡をした電話代と、店舗往復の交通費を私に請求する発言を1時間、店舗受付で言いまくり帰宅」
再び店頭で暴れたクレーマーに、またしても対応する羽目になった女性。それにしても、金銭を請求するとは常軌を逸している。この件については上司に報告したという。
「警察に連絡をして対応してもらいました」
すると翌日、クレーマーは仕上がり品を取りに来たという。品物を渡したあと、電話代や交通費について、「あの件はどーした?」と上から発言を始めた。だが今度はクレーマーの横暴を許すことはなかった。
「また金銭要求のようなことを言ってきたので警察に連絡をして対応してもらいました。その後、その客は出禁とは言ってませんが、『同じようなことをしたら、以後のご利用はお断りします』と 警察官から伝えていただきました」
当然の結末だろう。女性は現在もこの店に勤めているようだが、クレーマーのせいで辞めてしまう人も多い。一方で、最近は百貨店やコンビニなどで、カスタマーハラスメント対策を強化する店が増えている。従業員を矢面に立たせるのではなく、組織として対応するという姿勢を見せることで、抑止力になるだろう。
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