年収800万円で「静かな退職」 1日の仕事は1~2時間で終了「会議室で寝たり、豆から挽いてコーヒーを入れたり」 | キャリコネニュース
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年収800万円で「静かな退職」 1日の仕事は1~2時間で終了「会議室で寝たり、豆から挽いてコーヒーを入れたり」

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必要最低限の仕事しかしない“静かな退職”という働き方が、働き盛りの人たちの間で一部広まっているようだ。東京都の山田さん(仮名、40代男性)もそのうちの1人で、勤務実態について次のように語る。

「7時に始業して、基本的には1、2時間、仕事して終わりです。ネットサーフィンがだるくなったら会議室で仮眠したり、コーヒーを飲んだりして過ごしています」

それで年収800万円をもらえているというから、羨ましいと思う人は多いだろう。編集部は山田さんに“静かな退職”をするようになった経緯を詳しく聞いた。(文:天音琴葉)

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「億単位の利益」を出したが、上司が成果を横取り

山田さんは金融機関2社での勤務を経て、15年ほど前に現在の勤め先である金融商品取引業者に入社した。前職での経験が生きているようだ。

「前職では始発から23時まで仕事し、土日も自主的に仕事をしていました。2社ともに大手ではないので、大手の顧客を狙う営業をし、リサーチやDMをしながら、毎日ノンストップで架電していました。その当時の知識と人脈をフルに駆使しているのが現在です」

現職では、同期が赤字を出している中、自身は「億単位の利益を出した」と胸を張る山田さん。当然のごとく昇給を期待したが、「給料が変わらなかった」とこぼす。

「安定としっかりした就業環境を求めてこの会社に入りました。しかしながら途中から、仕事をしない上司たちが勝手に成果を横取りし、持ち株会社の役員や社長など上層部に報告していました」

どれだけ成果を上げても、横取りする上司がいる限り昇給しない。絶望するのも無理もないだろう。こうして4年ほど前から“静かな退職”を始めたが、直接のきっかけになった出来事を次のように明かす。

「成果が出てきてからは長時間労働になりました。それなのに、バックオフィスの方々が必死に契約を積み上げる我々、営業に対して悪態をつくようになってきたんです」

営業が事務関係でミスをすると社内ネットに名指しで晒される。その上で二重、三重のチェックを課され、業務量が増加していった。

しかも、営業が事務作業に追われる一方で、バックオフィスの人々はあまり仕事をしていない様子だったという。

「最終的にバックオフィスが働かないおじさん、おばさんの集合所になりました」

これではやる気はさらに削がれるもの。そんなとき災難が重なった。

「複数回の異動や単身赴任があり、大病になって入院しました。多忙で家族とも疎遠になり、プライベートもおかしくなり始めていたため、仕事をセーブしないと、と思いました」

会議室の椅子をつなげベッドにして快適

そこで、担当する顧客を整理。山田さんを担当者として指名し、かつ規模の大きい企業のものだけを預かることにした。業務を必要最低限に絞ったことで前述の通り、7時に出社後、基本的には1、2時間で仕事が終わる。帰り際に顧客に電話やメールをし、15時半には退社するという。

ときには12、13時間ほど仕事する日もあるそうだが、普段は午前中でほぼ仕事が終わる。空いた時間を持て余していないのだろうか。

「ネットサーフィンしたり、会議室で寝たり、ゆっくり豆から挽いてコーヒーを入れたり、トイレに長めにいたりします。最近は会議室で椅子をつなげてベッドにし、横になりながら音楽を聞き、スマホでマンガを読んでいます。昼休みも1時間半から2時間はとっています」

上司は山田さんの“静かな退職”に気づいているという。過去に指摘されたこともあるものの、「アンタッチャブルかつ透明人間のように接してきます。基本空気です」と、今ではスルーされている。手柄を横取りしたやましさから、強く言えないのかもしれない。

16時半には帰宅し、家では会社携帯の電源を切り、夕飯を作るなど家事をする。これまで大変な思いをさせてきた妻と子どもへの罪滅ぼしだという。「飲み会や会社のイベントも4年近く行かないままです」と、どこまでも家族中心の生活だ。

読者の中にも“静かな退職”に興味がある人がいるかもしれない。だが、それができる会社は限られているものだ。山田さんは最後にこんなことも語った。

「長く、ゆるく働ける、人間関係の良いJTC(編注:ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー。伝統的な日本企業)を探しましょう。給料は低くても、長く勤務してみんな幸せなのが一番。過度な競争は疲れるだけです。あと、金融機関で働いている営業の若い方は、結果が出ていないなら早く業種と職種を変えましょう。上に行けるのはコネがあって高学歴で24時間働けるバケモノだけ。頑張りすぎても人生つらいだけですから」

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