職場で昼食をとりながら意見交換を行うランチミーティングと違い、レストランで行われるランチ会では、仕事よりプライベート寄りの話になりがちだ。後者のほうがフランクな場だが、つらいという人もいるだろう。当該男性もその1人のようだ。
ある日、上司から突然「〇〇さんもランチ会どう?」と誘われ、「断りたかったが、空気を読んで参加することにした」という男性。だが、会場は職場近くのイタリアンだった。普段はコンビニ飯でランチを済ませているから、「敷居が高すぎた」と早くも後悔したようだ。そしてランチ会が始まるなり、
「最近ハマってるドラマ、超面白くてさ~!」
「週末は湘南でサーフィンしてるんだよね」
「うちの子がさ~、もう可愛くて!」
と、陽キャな同僚たちのキラキラとした雑談が炸裂。「ついていけない」と思った男性は、「話に入れず、無理に笑顔を作りながらパスタをすすっていた」という。気まずさから逃れるかのように、黙々と食べ続ける姿が目に浮かぶようだ。
だがいつまでも食べ続けることはできないだろう。すると先輩が、「〇〇君は普段何してるの?」と振ってきたという。こういうとき、正直に答えるか、適当にかわすか迷うところだ。前者をとった男性は「えっと、家でゲームとか……」と言った。だが次の瞬間、正直に話したことを後悔することに。
「一瞬、会話が止まった気がした。『へぇ~』と薄いリアクションが返るだけで、すぐに話題は別の方向へ」
なんて言えばよかった?
この時点で、男性は店を出たかっただろう。しかしランチ会という試練はまだ続いた。ようやく会話が一段落した頃、止めを刺すかのような出来事が起きた。
「上司が『〇〇君、実はもっと面白い話できるんじゃない?』と笑顔で水を向けてきた。冗談だとわかっているが、心の中では『頼むから放っておいてくれ』と叫んでいた」
上司の言葉に深い意味はなかっただろうが、こう言われたら気まずい。結局、上司の期待に応えることができないままランチ会は終了した。「店を出る頃には心身ともにぐったりだった」というのも無理もない。上司の余計な一言もあり、すっかり自尊心を傷つけられてしまったようだ。男性はこう書いた。
「なぜ自分はここまでコミュニケーションが下手なんだろう?」
するとコメント欄には様々な意見が書き込まれているが、「なんのゲームしてるか言え!」という指摘が複数見られる。
「どうどうと『ゲームが好きで最近は〇〇っていうゲームにハマってます!』って言えばいいんだよ」
「リアクションが薄いのは単に『ゲーム』とだけ言われても反応しようがないからだよ」
いずれのコメントもその通りだろう。なかには、「へぇ~どんなゲーム?って聞いてくれないのか。みんな自分の話をしたいだけで人の話はどうでもいいんだろうね、そのランチ会」と書いた人もいるが、所詮は同僚だから、そんなものかも。
自身のコミュ力の低さに落ち込んだ男性だったが、最後には「別に自分が悪いわけじゃない」と開き直り、
「もう無理にランチ会に参加するのはやめる。自分が楽しいと思える時間を大切にしよう。それでいいじゃないか。そう思うだけで、少しだけ気持ちが軽くなった」
と明るく結んだ。ランチ会は強制参加ではないはずだから、行ってモヤモヤするくらいなら、断るという選択もありだろう。
だが一方で、コミュニケーションは職場ではもちろん、家族や友人、親族や近所の付き合いなど、さまざまな場面でついて回る。あまり苦手意識を持つのは得策ではない。自分をよく見せようとか気負わず、とりあえず話に加わってみるくらいの感覚でいたらいいかも。
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