監督対象事業場の23.7%で「過労死基準」を超えるブラック労働 「過重労働解消キャンペーン」の重点監査結果
違法な時間外労働で摘発された事業場の中には、月200時間超の残業をさせていた会社が38事業場あった。厚生労働省の過労死ラインは、発症1か月前の時間外労働が100時間以上、または発症2~6か月前の時間外労働が平均80時間超となっている。これと照らし合わせると、監督対象事業場の23.7%が過労死基準を超えていることになる。
今回の重点監査は、過去に長時間の過重労働による過労死に関する労災請求があった事業所や、若者の「使い捨て」が疑われる事業所などが対象。摘発された事業場は、従業員に違法労働を行わせていた「ブラック企業」といえそうだ。
監督指導事例を見ると、長時間労働等を原因とした労災請求(脳・心臓疾患)のあった建設業の事業場では、最も長い労働者で月約200時間もの時間外労働を行わされていた。また、複数の労働者が100時間超の時間外労働を余儀なくされていたとのことだ。
同じく脳・心臓疾患の労災請求がされた道路貨物運送業の事業場では、労災請求者の記録を調べたところ、発症前6か月連続で100時間超の時間外労働を行わせていたことが分かった。最も多い月では170時間にも及んだという。
「授業の準備や会議」に賃金を支払っていなかった学習塾に指導
指導事例には、ブラックバイトの例も紹介されている。ある学習塾では、学生アルバイトに授業の準備や会議の時間に対する賃金を支払っていなかったため、監督署は不払い分を支払うよう指導した。
また、主に高校生のアルバイトを採用していた接客娯楽業の事業場では、満18歳未満の年少者に対しても時間外・休日労働を行わせており、最も長い労働者で月約100時間の時間外労働を行わせていたという。この事業所では割増賃金も支払っておらず、書面による労働条件の提示も行っていなかった。
厚労省は「今後も、月100時間を超える残業が行われている事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、過重労働の解消に向けた取組を積極的に行っていく」としている。
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