当時40代前半だった大内さんが、指定された場所へ向かうと、現れたのは自分よりも少し年下に見える男性面接官だった。面接は1対1で行われたが、その空気感は最初から異様なものだった。
「最初から斜に構え、足を組むような悪い態度でした」
そして口を開けば前述通りの全否定。面接官の態度は、さらにエスカレートしていった。
特に大内さんが不快感を露わにしたのが、学歴に関する嫌味だった。大内さんが大学を卒業していることについて、面接官は馬鹿にするような笑みを浮かべてこう言い放ったという。
「大学を出てウチですか? 私は高卒ですよ」
まるで大卒の応募者を蔑むような言い草だ。その場には、建設的な対話など微塵もなかった。
「学歴に関しては完全に馬鹿にしているようでしたね。自分が高卒であることを自慢しているような、妙な雰囲気でした」
あまりに続く無礼な物言いに、大内さんの我慢は限界に達してしまう。
「時間の無駄なので」ブチギレた直後、面接官の態度が一変
ことごとく回答を否定され続けた大内さんは、面接の途中で言葉を遮り、こう言い放った。
「否定しかされませんね。採る気がないなら、最初からそう言ってください。お互いに時間の無駄なので」
この一言で、面接室の空気は一変。それまで尊大な態度をとっていた面接官は、大内さんの迫力に押されたのか、急に慌てふためき始めたという。
「私が反論した途端、急に正面を向き直して口調が丁寧になりました(笑)。挙句の果てに『二次面接はどうしますか?』と聞いてきたんです。散々否定しておいてよく言えるな、と思いましたね」
大内さんは呆れ果て、「この流れで『受けます』という人間がいたら教えてほしいですね」と捨て台詞を残し、そのまま席を立って会場を後にした。
「クレーマー扱い」する本社の対応にも怒り
怒りが収まらない大内さんは、そのまま企業の本社へ連絡を入れた。無礼な面接の内容をすべて報告したのだ。しかし、会社の対応はさらに大内さんを失望させるものだった。
「場所も時間も伝えたので、社内で確認すれば面接官は特定できたはずです。しかし、電話口の相手はのらりくらりとあしらうような対応で、まるでこちらをクレーマーとして扱っているようでした。当然、後日の謝罪や連絡も一切ありませんでしたね」
結局、会社全体が「人を大切にしない」体質だったのかもしれない。その後、この大手外食チェーンは徐々に衰退していったという。
「当時は出店ペースを上げていて、会社も従業員も悪く言えば調子に乗っていたんだと思います。今では店舗数も全盛期の半分を切るくらい。謙虚さを忘れ、襟を正さない企業体質が、今の衰退を生んでいるのではないでしょうか」
大内さんはそう語り、静かに話を締めくくった。
実際、大内さんが受けた印象を裏付けるかのように、その会社はやがて、赤字転落と大量閉店を経験することになる。現在は経営の効率化により業績は回復傾向だが、全盛期に比べ店舗数が絞り込まれた今の姿は、大内さんの目には「かつての勢いを失ったまま」に映っているようだ。
採用の場で与えたネガティブなイメージは、たとえ業績が回復しても、かつての応募者の心に深く刻まれたままだ。
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