大手個別指導塾で講師に約400万円の賃金未払い 原告は「講師になった教え子にこれが当たり前だと思ってほしくない」と訴え
訴状などによると、檜垣さんはトーマスの千葉校で2014年4月から2017年3月まで講師として勤務していた。タイムカードによる労働時間の管理は行われておらず、講師自ら手書きの日報を提出することで、コマ数や事務作業の時間が管理されていたという。
しかし第三者によって、日報が書き換えられていたことが判明。例えば、週1日は休日があったことにするために、休日の授業が平日に書き換えられていた。このため、休日手当が適正に支払われていなかった。また長時間に渡った勤務の一部が別の日に計上されていたため、超過分の手当が支払われていなかったという。リソー教育は、日報の書き換えを認め、未払いの休日手当の一部を支払っている。
また檜垣さんは、自習を希望する生徒のために2015年4月から2016年2月までは朝8時に、2016年3月以降は8時40分に出勤し、授業の始まる9時20分まで、開錠や電話対応をしていた。
しかしこの分の事務作業手当も支払われていない。他にも、授業後の社員によるノートチェックや授業の合間に行われるミーティング、生徒からの質問対応やカリキュラム作成に対する給与も支払われていないという。
代理人の安孫子理良弁護士は、
「厚生労働省は2015年に、講師が授業時間外に行う質問対応や報告書の作成に要した時間を適正に把握して、賃金や割増賃金を支払うように学習塾団体に向けて要請しています。塾講師の勤務時間が適正に把握されておらず、給与も適正に支払われていないことは社会問題になっているのです」
と本件の意義を説明した。
檜垣さんは、
「塾講師の働き方が社会問題になっているのに、リソー教育は改善に向けて十分な努力をしていないのではないでしょうか。教え子の中には、トーマスでそのまま働くようになった学生もいます。教え子たちが初めに目にする職場が、このようなコンプライアンスの意識の薄い企業でいいのでしょうか。これが当たり前だと、これが社会勉強なのだとは思ってほしくありません」
と提訴に踏み切った心境を語った。
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